インドシナニュース

ミャンマー:ロンジーからジーンズへ――伝統文化の行方(後)

(前編より)

 

新たなライフスタイル

着心地が楽で、伝統のあるロンジーは、いまだに多くの人々に愛されているが、国内の有名人や海外のアパレル企業が先駆けとなって、ジーンズへの人気が高まっているのも事実である。

Mc Group社CEOのSunee Seripanu氏は、「有名人も、そのほとんどがジーンズを履いていますし、ジーンズを大々的に取り入れた、新しいファッションも生まれています。またタイで働くミャンマー人は、いつもジーンズを履いているため、ミャンマーに帰国する際に、こうしたファッションも一緒に持ち帰ってきます。それを見て、ミャンマーに住む人々も同じ格好をするようになるのです」と話す。Mc Group社は、Mcブランドのデニム・ジーンズで有名なタイのアパレル株式会社。

Sunee氏はまた「ジーンズは今や、新たなライフスタイルとして1つの選択肢になっています。来年、ASEAN経済共同体(AEC)が発足すれば、さらに多くの人が、欧米のファッションやカジュアルなジーンズなどに身を包んで海外を訪れるようになるでしょう。と言うのも、ロンジーでは場違いに見えてしまうこともあるからです。こうした理由からも、ジーンズは必要とされています」と語った。

Mc Group社は昨年ミャンマーに、同国初の販売店をオープンした。そこで、過去2年にわたり、ジーンズに対する人気が高まっていく様子を目にしてきた。

2年前、同社では、ジーンズではなくストライプのシャツが好調な売れ行きを見せていた。だが、この2年間のあいだに、以前より多くのミャンマー人が海外を行き来するようになり、それが発端となって、デニムへの関心が根付くようになった。Sunee氏によると、最近では、ドラマの俳優や歌手もその多くが、ロンジーよりパンツを好んで履いているという。

 

市場での戦い

ミャンマーでは、デニム・ジーンズは特に男性に人気がある。製品はタイや中国、バングラデシュなどからの輸入だ。

Sunee氏は、ミャンマーのデニム市場について、競争の激しい市場だと説明する。タイや中国のブランドもすでに進出して店を構え、世界のトップブランドと軒を連ねている。

Mc Group社は現在、この新しい市場で40%のシェアを獲得している。今年1~9月においては、前年同期比の9000着を上回る1万5000着のジーンズを販売した。

ミャンマー市場のジーンズは、そのほとんどが安価で品質も良くないが、一方、最高品質のジーンズは価格も高いため、多くのバイヤーが手を出せない。Mcブランドの製品は、この両極端な製品の中間に位置するという。1着の価格は約299~399バーツ(9430~1万2590チャット)で、品質は中国やバングラデシュのものよりも良い。

 

ジーンズがもたらす脅威

だがすべての人が、ジーンズ文化へのファッションの移行を暖かい気持ちで受け入れているわけではない。

Thirimingalar市場で食料品店を経営するMoe Lwin Aung(41)さんは、ジーンズを履く文化によって今後、ロンジーが消えてなくなるのではないかと懸念している。ロンジーは、ミャンマー独自の文化を伝えるものだと考えているからだ。「ジーンズを履く人たちを批判しているわけではありません。ただ文化を守るということを、もっと慎重に考えるべきだと思うのです。小さなことかもしれませんが、服装も例外ではありません。私にとってロンジーを着るという伝統は、ジーンズなどには譲れないものです。そうでもしなければ、一体誰が、この貴重な文化を守っていくのでしょうか」と問いかけた。

またMoe Lwin Aungさんは、人々に対して、ミャンマーの伝統を大切にし、国の文化を守っていくよう呼びかけた。そして「すべての人が、文化の保護に努めるべきです。さもなければ、われわれの文化は廃れてしまうことでしょう。何も大がかりな計画を立てようというわけではありません。小さなことから始めれば良いのです。例えば、ロンジーは伝統的な衣装だと認識することです。従ってジーンズに取って代わるべきではありません。われわれは、欧米の文化にのまれてはいけないのです。特に若者は、ロンジーを着ることにもっと誇りを持つべきだと思います。こうした意識を持つことは、基本的なことではありますが、文化を守っていくうえで最も有効な方法と言えるでしょう」と締めくくった。

 

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最終更新:2014年12月13日14:00

ミャンマー:ロンジーからジーンズへ――伝統文化の行方(前)

何十年もの間、国際社会から孤立してきたミャンマーだが、ついにファッションなど、欧米の流行を受け入れ始めた。ミャンマーの街では、今や至るところで、欧米スタイルのパンツやシャツ、Tシャツ、ジーンズなどを目にするようになった。

街を見れば、ジーンズを履く人が増えたことは一目瞭然だ。恐らくロンジーよりも機能的なためだろう。「ロンジー」とはミャンマーの民族衣装で、一種の巻きスカートだ。タイやマレーシアでは「サロン」と呼ばれている。

ミャンマーでは近ごろ、普段着にジーンズを取り入れる人が増えた。KBZ Bankで働くMin Khant Kyawさんもその1人だ。活動的なライフスタイルを持つMin Khant Kyawさんにとって、ジーンズは最適な服装である。彼は「ジーンズは、世界中で最も多くの人が着ているものの1つでしょう。特に若者に人気があると思いますが、それはミャンマーでも同じことです。多くの人が、ジーンズを普段着に取り入れるようになっています」と話す。

Min Khant Kyawさんの見解では、ミャンマーにこうした新しいファッション文化が芽生えた背景には、ミャンマー市場の開放や、ミャンマーを訪れる外国人の増加が関係しているという。彼は勤務中にもジーンズを履いているが、ロンジーを着ているときよりも、自分に自信が持てると話す。Min Khant Kyawさんにとって民族衣装は今や、墓参りや寄付の儀式、婚礼といった伝統行事のためのものである。

彼は「ロンジーは『特徴のない』格好だと思います。ジーンズとロンジーのどちらか一方を選ばなければならないとしたら、私はジーンズを選ぶでしょう」と言い、「私と同じ年頃の若者は、その多くが同じように感じているはずです。もちろんロンジーを好んで着る人たちもたくさんいます。とは言えこの先、ジーンズを着る人たちが増えていくのも事実でしょう。若者だけでなく、年配の人たちにも」と話した。

さらに「ロンジーを着ている人たちについては、誇りに思います。昔から受け継がれてきたものですし、これからも継承していかなければなりません。われわれには文化を守る義務があります。一方で、自分の意思で選択する自由も持ち合わせています。『自分の意思』というのであれば、私は間違いなくジーンズを選ぶでしょう」と語った。

 

ロンジーの魅力

ロンジーは依然として、例えばヤンゴンなど主に低地の地域で、最も一般的な衣服と考えられている。こうした地域では、気温が17度以下になることはめったになく、夏は40度にまで上がることもある。これらの地域で暮らす人々にとってロンジーは、スカートやパンツよりも機能的だと考えられている。ロンジーは通常、腰回りで緩く縛り、正面に生地を折り込んで着用する。そのほとんどが綿と絹で作られているが、綿と絹を両方使用することで、冬は暖かく、夏は涼しい衣服になるという。

ロンジーがいまだに、とりわけヤンゴンの人々に愛されているのは、こうした理由があるためだ。ヤンゴンに住むグラフィック・デザイナーのZaw Min Ooさんは、ミャンマーで暮らす人々にとって、ロンジーは最適な衣服だと考えている。彼は「普段はロンジーを着ています。理由はこの国の気候に非常に適しているからです」とし、ミャンマーの気温の高さについて触れた。また「ジーンズほど、着替えに時間もかかりません。着心地も良いですし、リラックスできます」と続けた。

一方、タイトなジーンズを履いて街を歩く若者については、「どうしたら午後の暑さに耐えられるのか、疑問に感じてしまいます」という。そして「自分でも笑ってしまうのですが、ジーンズで歩く若者を見るたびに、自分の周りから空気が奪われる気がして、息苦しくなります。もちろん彼らに敵意があるわけではありませんし、ジーンズを履くことに反対しているわけでもありません。ただ1つ言いたいのは、衣服というものは、気候に合ったものを選ぶべきだということです」と話した。

ジーンズを好む人々は増加しているが、Zaw Min Ooさんは、これによってロンジーを着る文化が廃れることはないと信じている。「ジーンズを履く文化はこの先、ますます広がっていくでしょう。とは言え、多くのミャンマー人男性にとって、ロンジーはやはり普段着のようなものです。理由はいくつかありますが、ロンジーという伝統的な文化が、ジーンズという新しい文化によって、消えてなくなることはないと思っています。私も時にはジーンズを履いて外出しますが、それでも生きている限りロンジーを履き続けるでしょう」と語った。

(後編へつづく)

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最終更新:2014年12月13日06:00

ミャンマー:インフレと最低賃金の調和に難航

ミャンマーでは、消費者物価の上昇や変動によって、最低賃金の設定が難航している。最低賃金の問題は、アパレル工場とその従業員との間で常に争議の「火種」となっている。

アジア開発銀行(ADB)によれば、ミャンマーの物価上昇率は今年6.6%と比較的高いものだった。縫製産業関係者の話では、国民の生活費やその他調査結果は地域によって差があり、それが最低賃金を設定するうえでの判断を複雑にしているのだという

ミャンマーでは昨年3月、最低賃金法を制定した。その後、州別または地域別の法定最低賃金を決定することになっていたが、これまでのところ賃金額については発表されていない。

政府当局者は、賃金の設定には情報が必要だが、それを入手するのが非常に困難だという。

労働省で官僚を務めるThein Win氏もまた、効率賃金の決定には各州や地方の調査データが不可欠だが、これらの入手が難しいと話す。そして「詳細なデータが不足しているため、現時点で進展の兆しはありません」と続けた。

経済社会開発センターのZaw Oo所長の見解では、インフレに対する先行きの不安が、賃金制度の計画において、長期的な策定のみならず短期的な策定さえも難しい状況にさせているのだという。インフレは通常、各州や地方によって大幅に異なり、起きる時期もそれぞれ異なる。

労働運動家らは、実質購買力が低下していることで、労働者の生活が苦しくなっていると話す。

「労働者の権利を保護し支援する会」で広報を務めるEi Shwe Zin Nyunt女史は、「必要なのは最低賃金の設定だけではありません。消費者価格のコントロールも必要です。あるいは最低賃金の設定が、何の効果ももたらさない可能性についても考えるべきでしょう」と話し、「政府は、消費者価格が急激に上昇しないよう努めなければなりません」と続けた。

労働組合共同委員会の一員であるTun Tun Naing氏は、物価の上昇を抑えない限り最低賃金の効果はほとんどみられず、労働デモも続くだろうとしている。

だが一方で、縫製工場のオーナーらは、最低賃金の決定後、労働コストが大幅に上がるのではないかと懸念している。

衣料副資材を扱うAung Thein Than社のAye Tun社長や、Maybelアパレル製造工場のWin Ei Khin社長など産業関係者においては、賃金の支払いにそれほど多くの金額は充てられない可能性があると話す。というのも国内の需要は依然として低く、海外からの受注を増やすのに必死だからだ。

ミャンマーのアパレル工場では、衣料品の生産において、主に低価格のCMT契約を専門としている。またバングラデシュやカンボジアなど近隣の強力なライバル国を相手に、特に価格志向型の市場を対象としている。

 

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最終更新:2014年12月05日06:00

ミャンマー:縫製工場従業員が権利侵害に対する抗議活動を実施

ヤンゴンのShwe Pyitha地区、第一工業地帯のFord Glory 縫製工場の30人以上の従業員が11月26日、ヤンゴン市役所前で労働者の権利侵害に反対する抗議活動を行った。

工場労働者らは「労働者に権利を」「労働者差別をやめろ」等のスローガンが書かれた看板や横断幕を掲げた。

さらには、「労働組合員の不法解雇をやめろ」等のスローガンも聞かれた。

「今回の抗議活動の原因は7月に発生した2人の従業員間の喧嘩です。5人の労働組合リーダーらが争いを解決しようとしましたが、工場所有者はこの5人を解雇しました。地元裁判所に告訴したところ、裁判所は工場所有者に5人に対する係争期間中の補償と彼らの再雇用を命じました。しかし、工場所有者は彼らに補償せず、再雇用も拒否したのです。労働組合指導者なしでは、残る従業員が権利やその他の機会において不利益を被ることがあり得ます」と労働組合リーダーであるNaing Htay Lwinは語った。

さらには、工場側は解雇された5人の組合指導者の再雇用を求めた他の従業員の出勤を禁じた。「そうしたわけで、今回の抗議活動に至りました」とNaing Htay Lwinは言う。

当初、従業員らは工場前での抗議活動を計画していたが、許可を得ていないとして警察が工場前での抗議活動を禁じていた。

 

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最終更新:2014年12月04日14:00

戦略策定でミャンマー縫製産業は拡大できる

ミャンマーの縫製分野において実効性のある戦略が作成、実施されるのであれば、海外投資家にとって今後10年間にわたり最も期待できる分野となりうると縫製産業の専門家は語る。

しかし、縫製業界は非常に競争が激しい上に、ミャンマーはこの業界において経験豊富なバングラデシュやカンボジアとの競争にも直面している。

先週ヤンゴンで開催されたミャンマー縫製業協会年次総会での会員の話によると、より大量の安定した注文を、さらに高い利益で得ることが現時点での課題である。

縫製業協会では2014年末までに、業界改善のため政府と協調することを目指し、事業管理チームを立ち上げようとしているとU Myint Soe会長は話した。

「2014年のミャンマーからのアパレル製品輸出は推計15億米ドルに達しましたが、戦略通りに進めば、今後10年以内に年額100億ドルの輸出高を達成できるはずです」と彼は言う。

ミャンマーは現在、低利益で大量の縫製製品を産出することに特化しているが、こうした生産形態においては特に、競合諸国より魅力的な工場立地の優位性を提供できるかということが課題となる。例えばバングラデシュは2億人以上の人口を擁し、200億ドルを輸出しており、これはミャンマーの輸出高の20倍にあたる。しかし、投資家の中には、バングラデシュ縫製業はすでに飽和点に達したのではないかとの懸念、また人災、天災に対して脆弱であることを懸念する声もある。

今ミャンマーがバングラデシュの成功から学ぶ点は多い。

U Myint Soe会長は、縫製業は雇用創出の面からも非常に重要であると述べた。縫製業の拡大とともにさらなる労働力が必要となり、100万人単位の雇用を提供できる潜在的可能性がある。

EU市場への特恵的アクセス、そして中国市場のミャンマーからの輸入受入れの兆しを考慮すると、縫製分野の前途は明るい。

「平均して1週間に2000人規模までの1工場が開業しています。この傾向はヤンゴン郊外から、地方まで拡大するでしょう」とU Myint Soe会長は話す。

しかし、縫製産業がその存在的能力を最大限に活かすためには、いくつもの大きな課題を克服しなければならない。主な制約としては、脆弱な金融制度、輸出入税制、社会基盤、人材訓練、技術が挙げられる。これらの分野については政府の支援と、課題克服のための包括的な戦略が必要となる、とU Myint Soe会長は語った。

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最終更新:2014年11月24日14:00

ミャンマー:投資の急増で成長に拍車

「アセアン投資レポート2013-2014」によれば、ミャンマーにはCLMV諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)のように、今後さらに多くの外国直接投資(FDI)を呼び込む力があるという。と言うのもミャンマーには、採取産業やインフラ事業のみならず労働コストが安価であるという強みがあり、それがメーカー企業を魅了しているからだ。

同レポートは今月10日、首都ネピドーで行われた「第4回アセアン投資フォーラム」で公表されたもの。それによると、2013年の対ミャンマーFDIは前年比約2倍の26億ドルだった。一方、他のアセアン加盟国のFDI流入額においては、インフラ事業や採掘事業での契約上の合意・利権といったノンエクイティ投資は含まれていない。

また アセアン事務局と国連貿易開発会議(UNCTAD)投資企業局(DIAE)が共同でまとめた「FDIの促進と地域バリュー・チェーンの構築」と題するレポートによれば、昨年アセアン諸国に流入したFDIの総額は前年比80億ドル増の1220億ドルで、これは対中国FDIの額にほぼ匹敵するという。今後の投資においては、その多くがアセアン加盟国の企業によってもたらされるものと考えられており、これらの企業はアセアン経済共同体(AEC)の設立に先がけて、各国や地域で基盤づくりを進めようとしている。

2012年に英国が6億6400万ドルを投資した場合を除き、2008年以降の対ミャンマーFDIはそのほとんどが中国によるものだった。だが昨年、シンガポールとタイがそれぞれ6億5500万ドルと4億9400万ドルの大規模な投資を行い、これにより最大の投資元が中国からアセアン加盟国へと切り替わった。レポートによれば、2013年の対ミャンマーFDIはその75%がアセアン加盟国と中国によるものだったという。

2014~15年の会計年度において、ミャンマー当局は約50億ドルのFDIを見込んでいる。

対ミャンマーFDIのほとんどがインフラ事業や、石油、ガス、採掘といった採取産業への投資によるものだが、一方で製造分野への投資も増加している。外国投資法のおかげで製造分野へのFDIは昨年ほぼ7倍になり、前年の4700万ドルから3億6400万ドルにまで増加した。また石油、ガスへの投資額は前年比139%増の16億ドルだった。

労働集約型の業態やアパレル企業にとっては、安価な労働コストもまた魅力の一つとなっている。

こうした企業には、Costic International社、Honeys Garment Industry社、Nadia Pacific Apparel社、Manufacturer GFT Enterprise社、JS Filter社、Eurogate Sportsware社、THY Garment社、Shinsung Tongsang Inter社、Korea Link Industrial社およびMac Do社などが挙げられ、さらにタイの大手アパレル企業数社も、コスト面の理由からミャンマーで事業を立ち上げる計画としている。

ミャンマーで事業認可を取得した海外の衣料品メーカーおよび靴メーカーは、昨年さらに増加した。台湾のMelody Global and Sunny Shoes社、中国のSDI Manufacturing社、Donglong Feather Manufacture社、Jiangsu Solamoda Garments社、香港のAMG Factory社などがそれに当たる。

一方、対ミャンマーFDIの急激な増加は、対内投資によっても支えられている。

例えば海外投資家がミャンマーに殺到したことで、2012年以降、不動産やホテル、旅行関連事業への投資が急激に増加した。ホテル会社では、フランスのアコーホテルズ、米国のベストウエスタンやマリオットなどが挙げられる。また飲料メーカーでは、デンマークのカールスバーグ、オランダのハイネケン、タイのタイ・ビバレッジなどが昨年、事業認可を取得した。

より基盤的な側面に目を向けると、マレーシアやシンガポールの企業が、空港建設、その他インフラ事業に従事している。また東洋エンジニアリング社のタイ現地法人Toyo-Thai Corp社も昨年、ガス発電所の建設で第1フェーズを完成させた。さらに三菱や丸紅、住友といった日本の商社が、Thilawa経済特別区の建設および開発を進めている。

レポートによれば、「つまりミャンマーには、わずか数年の間に世界各国の投資家が数え切れないほどやって来た」のである。例えば2013年までに投資を行い、すでに事業を開始している企業には、ゼネラル・エレクトリック(米国)、サムスン(韓国)、 ユニリーバ(英国/オランダ)、キャノン(日本)、ヒルトン(米国)、ハイネケン(オランダ)、カールスバーグ(デンマーク)、マツダ(日本)、フォード(米国)、日産(日本)、ペプシコ(米国)およびブリティッシュ・アメリカン・タバコ(英国)などが挙げられる。またコカ・コーラ(米国)やユニリーバ(英国/オランダ)などいくつかの企業も、今後数年間にわたる大規模な投資計画を発表している。さらに著名な多国籍企業も、将来的にミャンマーの複数の産業に対して投資を計画しているという。

UNCTAD投資傾向課題部門で部長を務める藤田正孝氏によると、ミャンマー進出において、日本の対ミャンマー投資は増加傾向にあり、また日本以外の海外投資家も同市場に関心を示しているという。そして「ミャンマーやその周辺国では、海外投資をめぐって互いに競争を繰り広げている。ミャンマーは今後、例えば衣料産業などにおいて、カンボジアやベトナム、タイと競合していかなくてはならないだろう」と述べた。

 

 

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最終更新:2014年11月22日06:00

ミャンマーのネット通販事情(後)

(前編より)

 

一方、ネット通販というものは一種の「チャレンジ」のようなものでもある。利用者は写真だけを頼りに商品を決めるため、トラブルにつながる可能性もある。また洋服のサイズや品質、実際のデザインなど、買う側だけでなく売る側にとっても一筋縄ではいかないことがある。

例えば、販売業者が製造依頼をかけた衣料品においてそのサイズが大きすぎた場合、販売業者はサイズの調整を行うことができるが、反対に小さすぎた場合には、当初予定していた顧客に売ることはできないため、別の誰かに販売するか提供しなければならない。

2011年にマンダレーでLittle Things She Needs Fashion ShopをオープンしたEi Layさんもまた、顧客の要求を受け入れる形で近々ネット通販を開始する。だが自身はインターネットでの買い物は好きではないと話す。その理由を「服によっては、写真と実際の商品の色が違うことがあります。配送が遅れることもしばしばです」と説明した。

だがインターネットでの買い物すべてを否定しているわけではない。店舗で見付からない製品を、インターネットで見付けることも可能だからだ。

「市場で手に入らないものを買うのに、ネット通販を利用するのは良いと思います。しかし必要なものすべてを揃えるには、それほど便利なものではありません」と話し、「インターネットで自分の服を買ったことは1度もありません。これまでに買ったのは、ベッドとまくらくらいです」と付け加えた。

自身のオンラインストアを100万チャットで開設したSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、オンライン・ビジネスを始める上で、支払いの問題や売上減少の可能性といったマイナス面は、例えば「誰でも始められる」といった実質的なプラス面によって相殺されるのではないかと考えている。彼女は「実店舗を持つのに十分な資金のない人は、その多くが、自分が管理できるサイズでオンライン・ビジネスを始めます」と話す。

ビジネスを行う者にとって重要な課題は、常に開業資金である。また実店舗の開店には家賃や人件費の削減が求められるが、インターネット上の店舗では、これらを支払う必要はない。

ネット通販での売買は、売る側と買う側の双方にとって便利なものである。だがやはり、店舗に足を運ぶという従来の買い物の方法と完全に置き替えることはできない。Nan Le Le Soeさんによれば、特にマンダレーでの買い物は重要で、人々は必要なもののほとんどを73番街や35番街、69番街、ダイヤモンドプラザなどで購入するという。

だがEi Layさんは、店舗での買い物がいかに便利だとしても、人々はやがてインターネットで買い物をするようになると考えている。それは時代の流れであり、ミャンマーでインターネットの接続率が上がれば、自然と生まれるものでもある。

彼女は「今や手頃な価格で買える電話機もありますし、インターネットもすべての人が利用できるようになっています。インターネットでの買い物は、マンダレーでも徐々に注目されるようになるでしょう」と締めくくった。

 

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最終更新:2014年11月15日14:00

ミャンマーのネット通販事情(前)

今やネット通販は簡素化され、ワンクリックで買い物ができるようになった。だがミャンマーではまだまだそうはいかない。それでもなお、オンラインストアを開設しようとする者は後を絶たない。

インターネット接続の向上に伴い、ミャンマーでは過去数年間にわたって、衣料品や電化製品などをインターネットで販売することが定着し、特にヤンゴンを中心に人気を集めるようになった。今ではOoredoo社、Telenor社、MPT社など携帯電話会社と契約する人も増え、オンラインストアやフェイスブックで手軽にショッピングを楽しめるようになっている。

ミャンマー第2の都市マンダレーでショッピングをするには、通常「店に行き、店員と話し、欲しいものを買う」という従来の方法が必要になる。だがマンダレーで暮らす人々もまた、ネット通販に興味を持ち始めている。まずインターネットで商品を探し、注文を行う。その後、銀行経由で決済し、1週間から10日で商品が届く、といった流れだ。

2007年に自身の衣料品店Hello QueenをオープンしたNan Lae Lae Soeさんは昨年、ミャンマー全土にわたる常連客の後押しもあり、試験的にオンラインストアを開設した。

彼女はその経緯について、「当店には、タウンジーやヤンゴン、ネピドー、モンユワ、ミッチーナーなど、マンダレー以外から来られるお客様もいらっしゃいます。こうした方々にはこれまで、バイバー(Viber)(無料通話・メッセージアプリ)を使って店舗でしかお買い求めいただけない製品の新作写真をお送りしておりました。そのようなわけで、オンラインストアの開設を勧められるようになったのです」と説明した。

一方でフェイスブックのアカウントも作成し、商品写真や価格の掲載、受注などに利用している。同店のオンラインストアでは配送サービスも提供しており、5万チャット以上の購入で自宅または最寄りのバス停まで商品の配達を行う。

Nan Lae Lae Soeさんによれば、マンダレーでは同店の認知度が以前より上がり、店の売上もアップしたという。またオンラインストアは、新聞や雑誌の広告よりはるかに露出効果が高いものだと述べた。

一方、19歳のSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんが立ち上げたのは、インターネット上のファッションストアだ。だが彼女はこのウェブサイトを、自身がデザインしたものを販売する場所ではなく、友人らとつながり楽しみを分かち合うための場所として活用している。

彼女は「最新デザインの服をショッピング・モールやブティックで見付けるのはたいへんですが、インターネット上では簡単に見付けることができます」と話す。ネット通販で洋服を買うことが多いSu Pyi Kyi Thar Hlaingさんは、購入後、製品の写真をフェイスブックに投稿し友人らと共有する。彼女は「友人たちは私が着ている服を気に入ると、同じものを注文して欲しいと依頼してきます」と話し、「代理注文を始めて半年になりますが、今では常連のお得意さんもいるほどです」と続けた。

彼女は「ユニコーン・アンド・レインボー」と呼ばれるウェブサイトを立ち上げたが、コンテンツの掲載や受注は、個人のフェイスブックを通じて行っている。

人々がウェブサイトの閲覧やネット通販に興味があるのは明らかだ。だがミャンマーのネット通販には、販売する側と購入する側の双方にリスクが伴う。と言うのも、ミャンマーではインターネット・バンキングもモバイル・バンキングも確立されていないからだ。

Nan Lae Lae Soeさんは以前、支払いを待つのではなく、前払い制で販売していた。そのときの状況について「バイバーで請求書を送り、最寄りの銀行から送金してもらうようお願いしていました」と話し、「発送は大体その2日後です」と説明した。

 

(後編につづく)

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最終更新:2014年11月15日06:00

ミャンマー:EUの支援によりアパレル産業にCSR導入

欧州連合(EU)が資金を提供する、ミャンマー衣料産業のための「SMART」プロジェクトは先月30日、ヤンゴンのSule Shangri-Laホテルで開催された記者会見および公開討論会で、今後CSR(企業の社会的責任)への取り組みに着手すると表明した。

プロジェクト・マネジャーのSu Tayar Lin女史によれば、同活動では、ミャンマーの衣料産業がより持続的で社会的に責任のある産業になるよう意識向上キャンペーンの一環として、国内企業約3000社に対して書籍やビデオ、ポスターなどの配布を行っていくという。同産業は現在、何万人もの労働者が働く巨大産業である。

討論会は、ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)、Yoma Bank Group社、国際労働機関(ILO)およびアジア太平洋開発金融機関協会(ADFIAP)の各代表によって行われ、CSRの活動がミャンマー企業にもたらす効果や、活動を行う中小企業の発展にどのような影響を及ぼすのかなどについて協議した。

開会のあいさつを行った商務副大臣のPwint San博士は、同会議の重要性を強調するとともに、活動を通じて社会、環境、ビジネスすべてにとってメリットのある状況が作り出されるだろうと述べた。

またUMFCCIのWin Aung会長は、これまで多くの経営者に対して、企業や産業全体に役立つCSRに取り組むよう奨励してきたと話した。

一方、同会議の主催者「SMART」ミャンマーも、CSRへの取り組みはミャンマー企業にとって有益になるとの見方を示している。

「SMART」プロジェクトでは、「メイド・イン・ミャンマー(ミャンマー製)」の衣料が持続的に生産されるよう産業の促進と支援を行い、同産業における中小企業の国際競争力を高めていく。

「SMART」ミャンマーによれば、経済成長だけに焦点を当てた発展というものは、そう長くは続かないのだという。またミャンマーが世界の流行に追い付いた背景には、CSRの考え方と深く関係があるとしている。CSRとは慈善活動ではない。内部の業務プロセスやコミュニケーション、従業員の満足度、生産性などの改善を図る戦略なのである。社会基準や環境基準に則ったCSRへの取り組みは有効な経営戦略であり、かつ海外バイヤーとビジネスをする上でしばしば必要となる条件でもある。CSRは衣料産業以外でもすでに企業戦略に組み込まれており、有意で着実なものとなっている。従ってミャンマー企業は今後、こうした実際の事例から学ぶことができるものと期待されている。

ADFIAPのOctavio B. Peralta会長は、ミャンマー国内の全中小企業がCSRに対する考え方を共有し、実践に移すことを目指している。

「SMART」とは、「SME(中小企業)」「Environmental(環境に配慮した)」「Accountability(説明責任)」「Responsibility(責任)」および「Transparency(透明性)」の頭文字を取ったもの。

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最終更新:2014年11月13日14:00

ミャンマーに見る女性労働者の活躍推進(後)

(前編より)

 

Myitta Yait社が目指す女性の労働環境

ヤンゴンから北へ1時間、土ぼこりの舞うShwe Pyi Thar工業団地に、Myitta Yait社の衣料品工場はある。団地内の道路は視界が悪く1本道で、道の両側には細い溝が走り、18輪の巨大トレーラーが何台も身動きできなくなっている。咲きほこった花に囲まれたフェンスで、その向こうにある工場建物は、道路からほとんど見えない。フェンスの内側では数人の女性従業員が、作業をしながらうっとりするような声で歌を口ずさんでいる。

工場名の「Myitta Yait」とは「慈しみの下で」という意味だ。政党としては小さいが、総勢2000人を擁立する国民統一党(NUP)の活動家、Myo Myo Aye女史が同工場を創業したのは、今年7月のこと。「若い女性を教育して、新しい市場を作りたいと考えています。従業員として働くだけでなく、オーナーの立場から見た経営も知ってもらいたい」と話す彼女は、まばたき一つせず、凛としていた。ワイヤーフレームの眼鏡をかけ、髪はきつく束ねている。工場内を静かに歩き、我が子を抱いてひざにのせるMyo Myo Aye女史は、従業員も家族の一員のように考えている。

Myitta Yait社では、これまでに解雇された経験のある女性縫製労働者を雇用する。労働者らはデモ活動に参加しそれが失敗に終わってから、この工場で働き始める。同社では、労働者による労組の結成も手助けしている。工場では現在ミャンマー各地から集まった15人の女性従業員が働き、海外出荷向け製品の製造に当たっている。生産量は急速に増加しており、近隣での姉妹工場の設立計画も進んでいる。

工場内は清潔で、穏やかな雰囲気が広がっている。従業員は歌を口ずさみながら作業を行い、窓は開け放たれ、その窓に揺れる木々の枝がぶつかると、木の葉のサラサラとすれ合う音が聞こえる。従業員はみな、工場に隣接した寮で生活している。Myo Myo Aye女史は「彼女たちの母親のような気分です」と冗談を言った。

一部の従業員は、かつて地方のウール工場で働いていた女性工員で、デモ活動に参加した経験もある。デモでは約150人の女性が、日常業務における生産基準の問題をめぐって工場オーナーと意見を対立させ、2カ月もの間抗議を続けた。だが歩み寄りの余地がないと分かったとき、抗議に参加した女性らは解雇された。多くの人は地元である地方の町に戻ることを余儀なくされたが、なかにはMyitta Yait社で職を見付けた者もいた。

Myo Myo Aye女史はこれまで約30ものデモ活動を組織したことがあり、1度だけだが逮捕された経験もあるという。労働法の改善を求めて、労働省の前で抗議を行ったこともあった。そして「労組があるということが、今は非常に心強い」と、Myitta Yait社を引き合いに出して話した。

かつての軍事政権下で、デモを行う労働者らは捕らえられ投獄された。そして使用者に対する抗議について取り調べを受けた。ミャンマーの労働法が徐々に国際基準に近づくにつれ、こうした状況は改善されてきた。また新興の労働勢力による賃金の引き上げ要求や労働条件の改善要求も、成功を収めている。だがこうした改革にも関わらず、多くの女性が今なお、使用者に対する抗議で解雇されている。また労働活動を行う女性がいると、先々を懸念して、そうした女性を雇用しない使用者もいる。

Myo Myo Aye女史やMar Mar Oo氏にとって、こうした状況にはまだ多くの改善点が残されているという。例えば労働法の改正や、新たな労働基準の採用・実施などである。Myo Myo Aye女史は「悪影響を及ぼすデモ活動から、従業員を守らなければなりません」と話し、「工場のオーナーらが決定事項に従わない限り、法律が労働者の支援に十分な機能を果たしているとは言えないのではないでしょうか」と続けた。

労働組合を合法的に結成するには、1工場で少なくとも10%の従業員が、その労組に賛成票を投じなければならない。投票後に使用者側が、賛成票を投じた者の氏名を記録することも少なくない。労働者の権利を求める団体によれば、その後、工場オーナーが結成の中心人物となった従業員を解雇し、他の従業員に対する見せしめと今後の労組活動の抑制を行うことも珍しくないという。

一方で、工場オーナーらもまた、使用者のための労働組織の結成に踏み出し、問題があると見なした労働者を互いに伝え合うなど、情報の共有を行っている。労働組織に関与する労働者の氏名は政府に登録され、工場管理者で形成された組織に配布される。労働者の権利を求める団体によると、登録された者たちは今後、就職が困難になるという。工場の使用者は、労働活動を行う者の雇用を避ける傾向にあり、職場にいる場合には追放さえしようとする。

Mar Mar Oo女史は「ミャンマーは政治的腐敗のため、法治国家として機能していません。この国ではビジネスマンが賄賂を受け取るのは当たり前。まったく信用できません」と述べた。

罰金についても、使用者と労働者には大きな違いがある。Myo Myo Aye女史によれば、使用者が違法行為を行った場合、科される罰金は50万チャット(500ドル)だが、労働者の場合には、年収の30%が科されるという。彼女が求めているのは、使用者側にも重い罰を科す合法的な法の改正だ。例えば、投資額の数パーセントを罰金額としたり、重大な違反行為を犯した場合には懲役刑を科すことなどが挙げられる。

 

マスター・スポーツ靴工場デモのその後

マスター・スポーツ靴工場の外に集結した抗議者らは、労働争議について、ヤンゴン管区の労働裁判所が発表した命令を耳にした。バスから降りてくる者もいれば、雨風よけのビニールハウスから出て来る者もいた。日光から身を守るために傘を差し、抗議者らは路上に巨大な群れを作った。

静寂のなか、条件は読み上げられた。それは抗議を行ってきた者たちにとって、喜ばしい内容だった。「マスター・スポーツ社のオーナーは、従業員に対して、6月分の給与および退職金を支払わなければならない。また就労年数3カ月当たり1カ月分の給与に相当する額を、補償金として支払う必要がある。オーナーは今後3度にわたって支払いを行うが、支払いを怠った場合には、財産の差し押さえや破産手続を行い、それによって得た金銭を支払いにあてるものとする」

体制は整えられつつある。国民が国の経済や産業の発展を望むことで、政府も労働慣行の改革を行い、海外投資家の懸念を和らげる必要性を感じるようになるだろう。労働法の法的枠組みを強化することで、女性労働者やその労組が先頭に立ち、産業の意思決定を行う環境作りも可能になる。またそれは、彼女たちの将来を明るいものにし、何万人にも及ぶミャンマー女性や、その家族の社会的・経済的条件を改善することにも役立つだろう。

 

 

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最終更新:2014年10月25日06:00

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