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ミャンマー:成長を遂げるアパレル産業に対する「真の代償」(前)

アパレル工場における差別やセクシュアル・ハラスメントは、労働者と産業双方に多大な代償をもたらす可能性がある。女性の経済的状況を改善するためには、従業員と当局は身体の安全性にも取り組む必要があると人権活動家は主張する。



ミャンマーのアパレル産業は中国のライバルとも目されているが、調査によると、職場におけるセクシュアル・ハラスメントや暴力が女性の就業機会と産業の妨げとなっている。

ミャンマーは衣料品の大量生産市場において中国を追い抜くため、カンボジア、インドネシア、フィリピンなどと同様、自国の衣料品・履物産業を着実に成長させようとしている。ヤンゴンの工業団地には新しい工場が次々と稼働を開始し、毎年30億米ドルもの輸出が計上されている。

一方で、欧米諸国のファッション需要を満たす多くの国々同様、ミャンマーのアパレル産業は労働者の権利をないがしろにしているという指摘に悩まされている。アパレル産業における労働力の約90%を占める女性にとっては、それは嫌がらせと差別に耐えなければならないことを意味している。

調査によると、縫製工場の労働環境が悪いことによる身体的、心理的な負担によって、女性労働者と産業双方に多大な財政的損害が生じている可能性があるという。ミャンマーの縫製労働者の経済的福利を向上させるために、専門家と人権活動家らは雇用者と政府に対し、職場における従業員の安全確保や男女平等への取り組みを求めている。

国際労働機関(ILO)のチーフ・テクニカル・アドバイザーであるCatherine Vaillancourt-Laflamme氏は、ミャンマーの職場における暴力や嫌がらせを、どのように止めさせるのが最善かに関する調査をリードした。この研究報告は第107回国際労働会議に合わせて発表される予定で、調査者は16の外資系工場で働く労働者に聞き取りを行った。彼らは、就業時間中の望まないスキンシップ、工場外での暴行、結婚生活についての質問、暴言など、さまざまな事例を収集した。

Vaillancourt-Laflamme氏は、この調査は多くの女性がハラスメントについて語った初めての取り組みであると述べた。調査結果によると、「友人や同僚との間で交わされる職場での「からかい」や、何が「セクシュアル・ハラスメント」に当たるのかについて、多くが誤解していました。」と彼女は言う。

「職場では、嫌がらせや虐待が発生した場合の正式なポリシーと対応のプロセスが不足しています。」

セクシュアル・ハラスメントや差別がミャンマーのアパレル産業にどの程度損失を与えているのかについて包括的な調査はまだ行われていないが、Care International2017年報告書によると、カンボジアのアパレル産業におけるセクシュアル・ハラスメントによる生産に対する損害は年額8900万米ドルにも及ぶという。その内訳は、労働者が安全でないと感じて職場を離職するコストが85000米ドル、常習的欠勤によるコストが545000米ドル、生産性低下のコストが8800万米ドルである。

この数字に触発され、世界銀行グループのInternational Finance Corporationのジェンダー・オペレーション・オフィサーであるEllen Maynes氏は、ミャンマーにおける職場でのハラスメントの状況を調査し、ビジネスに対する代償がどの程度かを測定する初の試みを計画していると述べた。

「現在のところ、ミャンマーにおけるセクシュアル・ハラスメントやいじめの状況、それによる有病率や、企業や経済に対する金銭的コストを示したデータはほとんどありません。」と彼女は述べた。



(後編につづく)



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最終更新:2018年06月01日06:03

ミャンマー:Alibabaの進出によりeコマース市場に成長期待(後)

(前編より)



アセアンではなく南アジア向け

Alibabaの真の目的は、Darazの持つ他の市場も開拓することにあるという者もいる。 Darazは、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ミャンマーでビジネスを展開しており、それらの市場の総人口は46,000万人を超える。ミャンマーは、そのうち約10%の割合しかなく、パキスタンやバングラデシュ市場よりもはるかに未発達である。

「我々が察するに、Alibabaは南アジアで開発を推進しようとしていますが、パキスタンやバングラデシュなど南アジアは市場規模の大きさがまだまだ未熟です。」とC2Cや小規模なB2Cサービスに特化する国内のオンラインプラットフォームのBarLoLo.comは指摘した 。

Mandalay国際大学とShinawatra国際大学の講師であるPietro Borsano氏は、Alibabaはアセアン市場に浸透するためにLazada社に投資を重ねる可能性が高いと考えている。一方でDarazは、南アジアへの進出に利用されるのではないかとした。

「この中国ハイテク大手は、すでにアセアン諸国の政府と数多くの契約を締結しており、マレーシアとタイへの進出に大きな野望を抱いています。」と彼は述べた。

この中国企業はバンコクと緊密に協力して、タイの東部にある3つの県‐チョンブリ、ラヨーン、チャチューンサオにまたがる東部経済回廊を開発し、eコマースだけではなく、先駆的な製造、テクノロジー、技術革新の拠点にしようとしている。

「その結果、東南アジア地域全体におけるAlibabaグループの戦略としては、アセアンに軸足を置いた、マレーシアとタイでの事業が中心となっていくと私は確信しています。Alibabaグループは、すべてのアセアン市場がeコマースプラットフォーム導入の初期段階にあると考えていますが、彼らにとってミャンマー市場が発芽期に過ぎないことが容易に想像できます。

「従って私は、Alibabaが大規模なアセアン市場においてLazadaを優先的に取り扱うだろうと予測しています。」とBorsano氏は述べた。



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最終更新:2018年05月30日12:02

ミャンマー:Alibabaの進出によりeコマース市場に成長期待(前)

Alibabaグループは、ミャンマーでeコマースサイトshop.com.mmを運営するパキスタンのオンラインショッピングプラットフォームであるDaraz Groupの買収を完了し、ミャンマーに足がかりを確立した。

この動きは中国のインターネット大手だけでなく、他のライバル企業による多額の投資の始まりとなる可能性を秘めている。それはまた、514日に商務省(MOC)が外資系企業や合弁企業向けに小売・卸売取引を開放し、ミャンマーで製造された商品の売買や、海外からの商品輸入を認めた1週間後のタイミングでもあった。

Alibaba58日に、ドイツの新興投資会社であるRocket Internetが所有するDaraz株を価格非公開で購入した。この買収の前、Daraz社はCDC Group、英国政府系のDevelopment Finance Institution (DFI) Rocket InternetとカタールのテレコムグループであるOoredooの合弁企業であるAsia Pacific Internet Group (APACIG)によって所有されていた。

Alibabaにとって今回のRocket社からの買収は、2年前にシンガポールに本社を置くeコマース企業のLazada社の買収に続き、2件目のディールとなった。



競争の激化

この買収は、特に外資系小売業者に店舗の開設を認めるなど、ミャンマーの電子商取引に転換期をもたらした。

「こうした動きは、ミャンマーにおける電子商取引の収益体制や人々の電子商取引に対する見方を変えていくことになるでしょう。」とRocket Internetでミャンマー、スリランカ、ネパールの元地域統括責任者であったSumit Jasoria氏は述べた。

「この新しい法律はケーキの上のアイシング(砂糖衣)のようなものです。今ではAlibabaはミャンマーに物流・配送会社のネットワークを構築したり、投資したりすることが可能となります。また彼らは今後、自社倉庫の建設や、他のeコマースやデジタルベンチャーを開業することになるかもしれません。」とJasoria氏は続けた。

そしてまた、Alibabaは競争に晒されていくことが予想される。Thilawa特別経済区(SEZ)に拠点を置く物流のパイオニアであるDaizen Myanmarは今年の初めに、国内外の企業に対する保税倉庫サービスの提供を開始した。

eコマース各社は、ミャンマーの急速に成長するインターネット市場に着目している。

先月日本最大の宅配業者であるヤマトグループも、ミャンマーで倉庫や貨物輸送サービスの提供を開始した。ヤマトにとってアセアン地域における貿易と物流の統合が、ミャンマーへの進出するきっかけとなった。

それとは別に、ミャンマーにおける信用情報機関の設立が承認されたこともきっかけとして挙げられる。「適切な信用情報機関があれば、今後クレジットカードの利用が増加することが見込まれます。ミャンマーでshop.com.mmが運営を開始してから3年半ですが、その間にクレジットカードの利用は大幅に増加しています。」とJasoria氏は述べた。

「新しい小売販売法とミャンマー信用情報機関の承認は、より多くの外資系企業にミャンマー市場参入への扉を開くでしょう。」と彼は続けた。

現在、他のeコマースや物流のプレイヤーもこの機に乗じて参入する可能性が高くなっている。「実際、Alibabaや日本、韓国、中国などの大手インターネット企業は、長い間ミャンマーのeコマース市場に熱視線を送り続けてきました。」とJasoria氏は言った。

「長い間、ミャンマー市場に進出しようと目論んできた大企業はいくつもあります。」

ミャンマーのデジタル・イノベーション支援グループである欧州商工会議所の共同会頭を務めるErwin Sikma氏は、「我々は、ほぼすべての人々がスマートフォンを通じて繋がりあうという技術革新の最前線にいます。この新しいデジタル世代にサービスを提供するためには、世代に応じたデジタルサービスと相互作用モデルを開発する必要があります。」と述べた。

「ミャンマーにおけるAlibabaの買収は、彼らがこの新興市場がいかに発展していくかを見届けたいと考えていることの表れです。」とSikma氏は述べた。



(後編につづく)



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最終更新:2018年05月30日06:02

ミャンマー:海外小売業、卸売業者による営業を許可

最新の国際商務省の指令によると、外資企業かつ合弁企業による小売業や卸売業が許可されるようになった。

大手企業グループは、この動きがミャンマーへの投資誘致に向けて、適切なステップを辿っていると認めている。

同省は59日、外資100%の企業、国内外の投資家間による合弁企業も同様に、小売および卸事業を認めた指令25/2018を交付した。

この貿易政策は、同国の経済改革には不可欠であると言える。

同指令で言及された自由化方策は、より多く、より手ごろな、より優れた選択肢を国中の消費者に提供するためにセクター内の競争を促進することであった。

この方策により、同セクターに科学技術や質の良い製品を取り入れるだけでなく、中小企業(SMEs)の成長を促進し、多くの外国投資を誘致し、さらに雇用を創出することができる。

また、「消費者を搾取する代理店同士の不公平な争いを防ぐ」という面でも有効である。

 

キーポイント

この新しい方策により、法律で禁止されているものを除き、国内で製造されたもの、または海外から輸入されたあらゆるタイプの商品の小売および卸売取引が可能になり、国内企業、海外企業、合弁企業はすべて営業を許可された。

また、関連する規制に基づき、すべての州と地域のすべての町で小売および卸売業を行うことが認められた。

ただ、海外企業や合弁企業は、ミニマーケット、コンビニエンスストアなどの、床面積929平方メートル以下の小売店を運営することは認められていない。

また、貿易業における全ての企業は、輸入税と配布税を支払わなければならない。



最低資本金

小売業および卸売業を営業する外資100%の企業の最低資本金額は、それぞれ300万米ドルおよび500万米ドルである。

地元投資家が少なくとも20%の自己資本を所有する合弁企業の場合、小売、卸売業に必要な最小資本はそれぞれ70万ドルおよび200万ドルとなる。

それ以外の合弁企業の場合は、外資100%企業が定める条件によって規制される。

すべての資本要件には賃貸料が除外されるが、国内事業は除外されない。

 

登録

資本が70万米ドル未満である完全な国内資本の企業を除き、すべての企業は、このセクターに事業登録をするため、商工省に申請する必要がある。

必要な書類には、会社の登録、ミャンマー投資委員会からの承認、関連する町または地域開発委員会からの承認、販売および配布される製品の詳細リスト、事業計画および投資金額の一覧が含まれる。

初期投資額70万米ドル以上の既存の国内企業は、59日以降150日以内に同省に登録しなければならない。

登録された事業者が新支店の開設する場合、その90日前に省庁に通知する必要がある。

 

国内投資の誘致

ミャンマー英国商工会議所の最高経営責任者であるChloe Taylorは、この方針によって、ミャンマーで拡大しようとしている英国の小売業者が奨励されるだろうと述べた。

「英国商工会議所は、小売および卸売業の外国投資を招く最近の発表を歓迎します。」

同所は、貿易や業務サービスを通じ、ミャンマーでのブランドの開発においてパートナーシップを推進するために、ミャンマーの地場企業に評判の良い英国ブランドを導入した。

「高品質の英国ブランドを惹きつけ、さらにミャンマーでの投資を誘致するだろう」とコメントし、さらに、「TopshopMiss SelfridgesMarks and SpencerJohn LewisH&Mの経営を担うArcadia Groupなどの有名英国ブランドによる小売業の導入は、ミャンマーの経済にとって極めて重要である。」と付け加えた。

欧州議会もこの方策を称えた。

「私はこの改革をよろこんで受け入れ、この規制改革がもたらすとても大きな機会を待ち望む欧州の投資家に肯定的なシグナルを送ります。この改革によって、消費者物価を下げる市場競争を招き、さらなる雇用を創出することになるだろう」と、ミャンマーの欧州商工会議所のエグゼクティブディレクターであるFilip Lauwerysen氏は指摘した。



ミャンマー産業協会のU Aung Thein議長は、外国企業が市場に参入するにつれ、競争が激化し、地場企業はそのために準備する必要があると指摘した。

この指令に先立ち、省庁は前もって、肥料、種子、農薬、病院機器、グローバル企業向けの建設資材の取引を行っていた、とKelvin Chia Yangon Ltd.は伝える。



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最終更新:2018年05月26日06:01

ミャンマー:Unitedtex海外縫製工場で最低賃金を求めてストライキ

Hlinethaya1工業団地のUnitedtex海外縫製工場で600人以上の労働者らが、最低賃金4800チャットを含む10項目の要求を掲げて57日からストライキに突入している。

工場関係者は、4月末の給与支払いの際に4800チャットという約束を守らなかったと報じられている。

4月には新しい最低賃金で支払うと会社は約束しました。しかし、今月賃上げするとは言っていないというので、我々はストライキに入りました。会社に問い合わせると、政府がまだ確認していないので、その金額を支払うことはできないと言われました。それで、10項目の要求を認めてもらうためにストライキを進めています」

最低賃金の日給4800チャットとは別に、スキルに応じた時間外賃金、皆勤手当、通勤手当、就業時間中の組合会議の開催、試用期間中の最低賃金75%保証などを求めている。

労働者側と会社側の間で交渉は進行中である。

縫製工場は、ジャケット、ドレス、スカートを生産しています。



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最終更新:2018年05月14日19:28

ミャンマー:中国の投資家らがアパレル産業に照準

ヤンゴンの工業団地におけるアパレル産業の拡大について、中国の起業家らがヤンゴン地域投資委員会と協議中であることをヤンゴン地域投資委員会のMyo Khaing Oo氏は明らかにした。

「現在、ミャンマーの繊維産業は急速に成長しています。 EUやアジア諸国へのアパレル製品輸出が増加しています」とAung Htoo商務次官補は言う。

「日本、中国、韓国、台湾の起業家がアパレル合弁工場を開設しました。現在、縫製工場の数は400以上に達しています。2016年に縫製部門は35万人の雇用を創出しました。女性労働者が全労働力の90%を占めています」

ミャンマー縫製起業家協会の中央執行役であるTun Tun氏は、201711月に次のように述べています。「アパレル産業は、長年にわたりCMPベースで取引してきました。まだまだCMPベースからFOBベースに移行できる状態ではなく、というのも、インフラ、銀行システムの透明性、情報、投資力などが不十分だからです」

2017-2018年度に、CMPベースでのアパレル産業の輸出高は25.8億米ドル。商務省によると、これは最大輸出品目の1つである。

ミャンマーに最も多くのアパレル製品の注文をだしているのは日本と欧州諸国である。



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最終更新:2018年05月11日11:55

ミャンマー:縫製業労働者の健康と安全 推進ガイドラインの施行

労働・移民・人口省は、国内の労働条件と福利厚生を改善する施策の一環として、縫製業労働者の安全と健康を推進するガイドラインを施行した。

 

「工場労働者の安全と健康のため、これらのガイドラインを実行に移すように強く勧めたい」と労働大臣U Thein Sweは、週末の施行式で述べた。

このガイドラインは、労働省、ミャンマー縫製業協会(MGMA)、労働組合総連盟(CTUM)、ミャンマーインフラストラクチャー・手工芸・サービス(MICS)、ミャンマー農業農民組合によって、デンマーク政府のサポートを受けながら制定された。

ガイドラインは主に、ミャンマーの経済発展を支持し、国内労働者へ多くの就業機会を生み出す主要な産業の1つである縫製産業に向けられており、縫製業界で一般的に使用されている電気機器・機械、化学物質の安全な取り扱い方と、労働環境下での事故の防止方法も含まれている。

「我々ミャンマー縫製業協会(MGMA)は、縫製産業の持続的発展を確立したい。」とMGMA副会長U Kyaw Winは施行式で述べた。

さらに、縫製産業の労働者は約50万名に上り、縫製業界の労働需要はさらに増している、と続けた。

「安全と健康推進ガイドラインは、現在の法律に欠けている事項を補う内容である。このガイドラインは非常に重要で、今後も監督されながら実行されていく必要がある。」とミャンマーインフラストラクチャー・手工芸・サービス(MICS)の代表U Naw Aungは述べた。彼はさらに、工場内の出入口が1つしかないため、火災等が起きた際には大きな損失リスクのある工場が複数存在していることにも言及し、工場関係者はガイドラインに従い改善対策を実行するように強く訴えている。

国際労働機関によれば、推計278万名が工場内での事故や病気によって死亡し、約37400万名の労働者が工場労働が原因となる怪我や病気を患っている。

ミャンマー政府は、縫製業界は2020年までに最大150万の労働者に対して、雇用を創出すると見積もっている。ミャンマー政府による同業界への投資は、最大100億米ドル(13.44兆ミャンマー・チャット)まで増額されると予想される。



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最終更新:2018年05月07日06:03

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(下)

(中編より)

 

企業や経営者の課題

アパレル部門の管理者はしばしば、あまりにもひどい人間に描かれ過ぎている、とAung Myin Hmuの取締役の一人であるSuzanne Tim氏は言った。「企業は労働者のスキルを向上させたいと考えています。それによって彼女らはより多くの収入を得てより良い生活を送ることができます。我々は真の投資はトレーニングを通じて行われていると考えます。」とTim氏は言った。

労働省の監督下で運営されている「スキルセンター」の建物の裏側では、まだ塗料の匂いの残る、換気設備の整った新しいトレーニングがある。 Aung Myin Hmuセンターでは、マネージャーらが縫製、品質管理、監督の技術だけでなく、コミュニケーションも学んでいる。

マシンオペレーターとして10年働いたため、Ni Ni Soeさんは、底辺でコツコツ働くということがどのようなものか良く知っている。「マシンを稼働させるためのテストに合格できなければ、ヘルパーに格下げとなると宣告されたため、私はとても切迫した気分でした。」と彼女は回顧した。彼女が14歳で仕事を始めた頃には、30日ごとにたった15000ミャンマーチャットしか受け取れなかったと言った。自身の勤務条件を振り返ってみると、Ni Ni Soeさんは機械オペレータとして働き始めた頃に比べて多くの改善があったという。しかし彼女は、インフレと生計費の上昇に対応するには、引き続き賃金を上げてもらう必要があることに同意した。

彼女が直面する最大の問題はストレスである。ファーストファッションの需要増加に伴い、顧客はより多くの衣服をより速く欲しいとリクエストしている。この厳しい納期を達成するためにマネージャーらは、スタッフに効率的に作業に取り組ませるよう、現場監督者に圧力をかけている。「工場で長時間働いてもノルマは達成できず、しばしばマネージャーのオフィスに呼び出され、彼に罵倒されます。ノルマ未達が3回~6回も続くと、マネージャーは私を自発的に辞めさせようと、契約書にサインするよう命じます。」

現場監督者のトレーナーとして働いている彼女が、現在伝えようとしている最大のメッセージは、「忍耐と、いかにスタッフと協働するか」だと言う。中国系工場ではしばしば、怒鳴りつけることで労働者の生産性を高められると考えているようであるが、常に彼女らを叱りつけるようなことがあってはならないという。

以前ミャンマーのアパレル工場でマネージャーとして働いていた香港のビジネスマンのTerry Shunさんは、ビジネスにおける頭痛の種は欠勤率が高いことと、外資系工場においてはよくトレーニングされた地元の管理者を育てることに関心が薄いことを挙げた。 「中国人経営者は次第に、指示を与えるのに通訳者を通じて行うだけでは不十分であることを理解するようになってきています。通訳者に指示を通訳させるのではなく、現地の管理者を育てれば、必要なスキルを理解した上で具体的な指示を労働者に説明することができます。」

彼は、企業が地元従業員により良いトレーニングを実施することによって生産性を向上させ、地元の管理者やマネージャーを育てることで通訳者の費用を節減するなど、事実を受け入れた上で他の手段でコスト増を吸収しなければ、今回の最低賃金の引き上げによって海外投資に影響を受けることになるだろうと警告している。

総じて彼は、最低賃金は引き上げられるべきであり、「ミャンマーの労働者はもっと報われるべきである」と述べた。



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最終更新:2018年04月24日06:03

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(中)

(上編より)

 

工場の拡大に伴う課題

中国資本の工場は昨年のアパレル分野への外資系総投資額の45%を占め、韓国と日本の企業がそれに続いた。外資系工場特有の問題の一つに、経営幹部に地元の人間が含まれていないことが挙げられる、と国際品質管理監査グループAQMは指摘する。

中国と日本の合弁工場内部でのコミュニケーションについて聞かれた際、この工場で働く18歳のWai Wai Linさんは、最大の問題はビルマ語の通訳者がいないことだと言った。

また、アパレル産業においては女性が過半数を占めることを鑑みると、男女平等は重要な問題であるが、労働権団体のAction Labour Rightsは、男性はしばしば、女性よりも男性が上位という力関係を生み出すように管理職を置こうとする傾向を認識している。いくら厳格な対応を要請しても、脆弱な法律が平等な賃金、均等なキャリアパス、ハラスメントの可能性など、男女平等に対する障壁となっている。

労働権の教育を目指すNGK BusinessKindThandar Koディレクターは、職場におけるハラスメント教育が不足していると指摘した。

「私は工場で多くのセクシャル・ハラスメントが行われていると思いますが、職を失うことを恐れて誰も声を上げません。」とThandar Ko氏はDVBに対して述べた。家族に給与の半分以上を送金している多くの縫製労働者は、たとえハラスメントを受けても、収入の多くを送金しなければならないという責任があまりにも大きいため、声を上げられないのかもしれないと彼女は言った。

国際労働機関のCatherine Vaillancourt-Laflamme氏は最近、ヤンゴンにある16の外資系縫製工場における「職場での暴力とハラスメントの終幕」というレポートを編集し、これまで総じて、業務中のセクシャル・ハラスメントへの対応はないがしろにされてきた、と指摘した。

「ミャンマーの労働法の全面的改革が政府の優先事項となっているものの、職場でのセクシャル・ハラスメントや差別の問題は、この改革において議論されていません。」とVaillancourt-Laflamme氏は述べた。

この調査において報告されたその他の特筆すべきケースとして、他の女性従業員によるハラスメントや、友人や同僚同志のおしゃべりの中での微妙な問題、いじめやその他の嫌がらせなどに言及する女性らがいたという。

また、深夜の帰宅の安全性に不安を感じると指摘する縫製労働者もいた。

危機にある女性向けにシェルターなど提供するBusinessKindの共同設立者であるHelen Gunthorpe氏によると、シフト終了後の遅い時間やしばしば早朝の通勤時においても、多くの女性がバイクタクシーや自動車運転手からのハラスメントを受けたと報告しているという。一部の工場では工場と寮の間の通勤手段を提供しているところもあるが、労働者が残業をした場合にこうした通勤手段は使えず、自力で帰宅することを余儀なくされている。

皮革工場で働く32歳のEi Ei Soeさんは、運転手から望まない性的関係の誘いを受けたことがあり、他の労働者も暴行や強盗の被害を受けているようだと言った。

この件はVaillancourt-Laflamme氏のレポートにも取り上げられている。「労働者は賃金の多くを家庭に送金しなければならない。この点もまた、安全な住宅や交通機関の確保などの面において、正しい選択をすべきという意識を低下させる原因となっている。」

労働法にハラスメントに関する規定がなく、工場にも男女平等のポリシーを定める必要がないため、女性はハラスメントと差別のリスクにさらされている。

Vaillancourt-Laflamme氏は、労働権をよく知らず、また職場での責任が明確でないような場合、女性縫製労働者はリスクに直面し続けることになると結論づけた。「この点は健全で生産的な職場や労使関係にとって重要なポイントとなる。もし正しくこの問題に取り組むことができれば、ミャンマー全体に利益をもたらし、公正かつ持続可能な開発によって国を発展させることができるであろう。」とした。

 

(下編につづく)



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最終更新:2018年04月23日12:03

ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(上)

最低賃金は日給3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)から4800ミャンマーチャットに上昇するものの、一部の労働者はその他の手当が削減されることを懸念

先月末に就任したミャンマーの新大統領による署名を待つ文書の一つに、最低賃金を33%引き上げるための改正法案がある。

昨年、人権グループ、独立系の労働専門家、労働組合、そして政府関係者から成る賃金審議委員会が、2015年に導入された3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)の最低賃金を見直し、今年から1日当たり4800ミャンマーチャットに引き上げることで合意した。

しかし一部の労働者は、この最低賃金の増加によって他の手当が犠牲になる可能性があると懸念を表明している。

ベストを作る工場で働く19歳の縫製労働者のOhn Marさんは、工場経営者が目標を達成した際に支払われるボーナス、長期雇用インセンティブや通勤手当などを削減するのではないかと心配していると言った。

労働者擁護団体のAction Labor Rightsは、新しい最低賃金制の導入に伴い、ボーナスで人件費を調整されるという可能性は真のリスクであると指摘した。この団体では、労働者が手当を減額させることを定めた新契約の締結を拒むのを支援するよう、労働組合に呼びかけている。

「今回の最低賃金の引き上げには次の二つの意味合いがあります。一つは過去23年の間のインフレによって失われた実質賃金の減少分を取り戻すということ、そしてもう一つは実質賃金そのものを少し上げるということです。」とEUが資金援助するSMARTプロジェクトのミャンマー・カントリーディレクターのJacob Clere氏は言った。彼は、2015年の賃上げの際には多くの工場において、すべての労働者の賃金を新しい賃金体系に改めることによって、労働コスト負担分を吸収させようとする動きがあったことを認めた。これには経験豊富な労働者の賃金カットと、新しい法定賃率を無視するというケースがあったという。

「手当を削減しようとした工場はうまく機能しませんでした。従業員らは不正を察知したのです。私は工場経営者がこうした教訓から、基本的に人件費コスト増を受け入れるしかないと理解することを望んでいます。」

Clere氏は賃金が上昇する際に、この新しい労働市場条件に適応する責任は、工場経営者だけでなくバイヤーも負うべきだと付け加えた。

ミャンマーの賃金は依然としてバングラデシュに続き地域で最も低く、中国の3分の1の水準である。

 

アパレル産業の成長に伴い、火災や安全リスクが上昇

2017年、ミャンマーのアパレル・履物の輸出額は総額30億米ドルとなり、2016年から25%も増加した。

工場はヤンゴンのHlaing Tharyar工業地帯から農村地域まで拡大しており、75年間の免税期間の恩恵を求め、多くの企業がミャンマー低開発地域での事業を推進してきた。アパレル生産の規模も、以前の平均従業員数750人から1工場あたり5000人〜7000人にまで増加している。

理論的には、新設の工場ではより高い安全性とより快適な労働条件が提供されてしかるべきである。

しかし昨年、GAPOld-NavyO'Neill向けの生産を行うPan-Pacific International社が運営する縫製工場が火災を起こし、72000万ミャンマーチャット(527000米ドル)の損害を出した。火災は午前4時ごろに発生し、幸いにも従業員に死傷者はいなかった。

工場の管理部長であるMin Han氏は、刑法第285条の過失罪で最高3年の懲役の判決を受ける可能性があるが、一方でPan-Pacific社は操業を継続することを認められている。

過去5年間において新しい工場で少なくとも5件の火災が発生した。甘いコンプライアンスチェック、管理者の能力不足、工場経営者がいい加減な配線工事を行って経費節減を図っているなどの疑いが提起されている。

この「バングラデシュ・リスク」は市場に新規に参入する工場オーナーにとっての教訓であるとClere氏は述べ、2013年に1134人の労働者が死亡したRana Plaza工場の崩壊にも言及した。



(中編につづく)



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最終更新:2018年04月23日06:02

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