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ミャンマー:アパレル産業が最低賃金上昇に備え(上)

最低賃金は日給3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)から4800ミャンマーチャットに上昇するものの、一部の労働者はその他の手当が削減されることを懸念

先月末に就任したミャンマーの新大統領による署名を待つ文書の一つに、最低賃金を33%引き上げるための改正法案がある。

昨年、人権グループ、独立系の労働専門家、労働組合、そして政府関係者から成る賃金審議委員会が、2015年に導入された3600ミャンマーチャット(2.70米ドル)の最低賃金を見直し、今年から1日当たり4800ミャンマーチャットに引き上げることで合意した。

しかし一部の労働者は、この最低賃金の増加によって他の手当が犠牲になる可能性があると懸念を表明している。

ベストを作る工場で働く19歳の縫製労働者のOhn Marさんは、工場経営者が目標を達成した際に支払われるボーナス、長期雇用インセンティブや通勤手当などを削減するのではないかと心配していると言った。

労働者擁護団体のAction Labor Rightsは、新しい最低賃金制の導入に伴い、ボーナスで人件費を調整されるという可能性は真のリスクであると指摘した。この団体では、労働者が手当を減額させることを定めた新契約の締結を拒むのを支援するよう、労働組合に呼びかけている。

「今回の最低賃金の引き上げには次の二つの意味合いがあります。一つは過去23年の間のインフレによって失われた実質賃金の減少分を取り戻すということ、そしてもう一つは実質賃金そのものを少し上げるということです。」とEUが資金援助するSMARTプロジェクトのミャンマー・カントリーディレクターのJacob Clere氏は言った。彼は、2015年の賃上げの際には多くの工場において、すべての労働者の賃金を新しい賃金体系に改めることによって、労働コスト負担分を吸収させようとする動きがあったことを認めた。これには経験豊富な労働者の賃金カットと、新しい法定賃率を無視するというケースがあったという。

「手当を削減しようとした工場はうまく機能しませんでした。従業員らは不正を察知したのです。私は工場経営者がこうした教訓から、基本的に人件費コスト増を受け入れるしかないと理解することを望んでいます。」

Clere氏は賃金が上昇する際に、この新しい労働市場条件に適応する責任は、工場経営者だけでなくバイヤーも負うべきだと付け加えた。

ミャンマーの賃金は依然としてバングラデシュに続き地域で最も低く、中国の3分の1の水準である。

 

アパレル産業の成長に伴い、火災や安全リスクが上昇

2017年、ミャンマーのアパレル・履物の輸出額は総額30億米ドルとなり、2016年から25%も増加した。

工場はヤンゴンのHlaing Tharyar工業地帯から農村地域まで拡大しており、75年間の免税期間の恩恵を求め、多くの企業がミャンマー低開発地域での事業を推進してきた。アパレル生産の規模も、以前の平均従業員数750人から1工場あたり5000人〜7000人にまで増加している。

理論的には、新設の工場ではより高い安全性とより快適な労働条件が提供されてしかるべきである。

しかし昨年、GAPOld-NavyO'Neill向けの生産を行うPan-Pacific International社が運営する縫製工場が火災を起こし、72000万ミャンマーチャット(527000米ドル)の損害を出した。火災は午前4時ごろに発生し、幸いにも従業員に死傷者はいなかった。

工場の管理部長であるMin Han氏は、刑法第285条の過失罪で最高3年の懲役の判決を受ける可能性があるが、一方でPan-Pacific社は操業を継続することを認められている。

過去5年間において新しい工場で少なくとも5件の火災が発生した。甘いコンプライアンスチェック、管理者の能力不足、工場経営者がいい加減な配線工事を行って経費節減を図っているなどの疑いが提起されている。

この「バングラデシュ・リスク」は市場に新規に参入する工場オーナーにとっての教訓であるとClere氏は述べ、2013年に1134人の労働者が死亡したRana Plaza工場の崩壊にも言及した。



(中編につづく)



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最終更新:2018年04月23日

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