インドシナニュース

2015年06月 のニュース一覧

ミャンマー:2014~2015会計年度の繊維製品輸出が前年比4億米ドルの減少

商務省の情報によると、ミャンマーの前の会計年度(2014~2015会計年度)の繊維製品輸出額は8.96億米ドルになり、2013~2014会計年度の13億米ドルより4億米ドル減少した。

ミャンマー縫製業協会の関連責任者の話によると、ヨーロッパの国がすでに再びミャンマーに対し特恵関税制度(GSP)を適用しているにもかかわらず、国際市場のミャンマーの繊維製品に対するニーズが下がっている。現在国際市場のニーズの減少、専門の技術員の不足、外資企業の撤退および国内縫製工場のオーナーと作業員の間のトラブルが頻繁に発生することなどは、ミャンマーの繊維製品輸出額減少の原因となっている。

協会内部の話によると、多数のEUの企業が本会計年度内にミャンマーの縫製産業に投資する興味を持っているにもかかわらず、現在までは中国、台湾、韓国と少数のヨーロッパ国を含む20か国と区域の企業しかミャンマーに投資してない。開発規模はアセアンの他の国より遥かに小さい。統計数字によれば、ミャンマーの国内外の企業が経営している縫製工場は合計300社余りがある。2012年にヨーロッパがミャンマーに対する制裁を解除して以来、ミャンマーの縫製産業は段々と改善されてきた。現在、縫製産業が提供している雇用数は20万を超えている。

他の報道によると、現在カレン州パアン(Hpa-an)工業区では4社の縫製工場が経営されており、うち1社が日本とミャンマーの企業が共同経営しているUMH縫製工場である。同工場は毎年日本に30数万枚の洋服製品を輸出できるという。この縫製工場はパアン(Hpa-an)工業区内の初の洋服製造工場であり、2012年から運営、現在従業員が400人余りいる。パアン(Hpa-an)工業区はミャンマーの第19番目の工業区であり、2011年から運営し始めた。

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最終更新:2015年06月24日11:04

ミャンマー:縫製企業は日額賃金1500チャットを提案

工場所有者らは日額1500チャットの賃金を提案すると同時に、もし「支払い不可能」なほどの最低賃金が制定された場合、操業停止も辞さないと警告

 

企業所有者らは労働・雇用・社会保障省のDaw Win Maw Tun副大臣に対し、会合の席上で「非合理的な」最低賃金が制定された場合は操業停止も辞さないと述べた。

ミャンマー労働組合連合のAung Lin議長は「最低賃金制定を前にして、縫製企業からのプレッシャーが最高潮に達しています。最低賃金制定委員会は法律に則り新賃金を発令し、議会にかけます。60日間は誰でも異議を唱えることができます。しかし現在まだ新賃金が発令されていないのです。もし新賃金が労働者らの生活費を賄うことができないようなものである場合、全国の労働組合の意見を集約したのちにしかるべき対応をする予定です」と語る。

最低賃金案への迅速な合意のために、最低賃金制定委員会は6月17日に会合の開催を予定している。

委員会の労働者代表であるKo Naw Aung氏は「この会合は最低賃金の決定に焦点をあてたもののようです。日額4000チャット以上で制定されるよう話し合いを進める予定です」と話す。

日額3000-4000チャットを提案する企業もある一方で、縫製企業代表者らは日額わずか1500チャットの提案をしている。

現在、労働者らは政府職員と同額の日額4000チャットを要求しており、縫製業協会の1500チャットという提案には幅広い層から批判が寄せられている。

Tai Yee 製靴工場の労働者であるNew Yin Win氏は「日額1500チャットは少し低いです。この額では不十分です。家賃や食料品が値上がりした今、いろいろな困難に直面しています」と話す。

2012年以来、賃上げを求める抗議活動が数多く起こってきた。ミャンマーの基本賃金はアセアン諸国の水準と比較すると相対的に低いと関係者は言う。

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最終更新:2015年06月22日14:03

ミャンマー:中国からのダックダウン輸入を再開

昨年、中国では継続的に鳥インフルエンザが流行した。自国への感染を避けるため、国民の健康のため、ミャンマー政府は中国からのダックダウンの輸入を一時停止した。今年、中国側で鳥インフルエンザの流行がなく、両国間のダックダウンの貿易が再開した。情報によると、ミャンマー政府は中国からのダックダウンの輸入を再開したが、輸入するダックダウンの産地は厳しく制限され、鳥インフルエンザの流行地域以外で生産したダックダウンだけではなく、輸入するダック本体の健康証明の提出も必要であるそうだ。

ミャンマーは現在積極的に縫製産業を開発しており、十分な生産原料を供給できるよう、中国大陸、台湾、香港、韓国、カナダ、アフリカ、ハンガリー、フランス、日本、ベトナム及び他の国と地域から、より多くのダックダウンを輸入しようとしている。ダックダウンの輸入貿易相手企業が50企業以上あり、2014-2015年度のダックダウン輸入量は約150トンに達した。

養殖及び治療部研究及び流行情報管理部のKyaw Ne U博士は、「中国から輸入したダックダウンは、中国の検査機関により発行された健康証明と、ダックダウンの産地が過去に鳥インフルエンザ流行区域でないという証明も必要です。本部門としては輸入自体には干渉することができませんが、輸入部品の安全性の検査を行い、すべての輸入動物及び食品を本部門が法律によって厳しく監査します。」と話した。

鳥インフルエンザや口蹄疫の発生によって、中国側は鳥インフルエンザと口蹄疫の発生率の高い国から肉製品の輸入を停止した。ミャンマーは同じく鳥インフルエンザと口蹄疫の発生率の高い国になっているので、2012年から中国はミャンマーからの肉製品の輸入を禁止している。

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最終更新:2015年06月09日14:04

ミャンマー:アパレル縫製を進める大手欧米ブランド(後)

(前編から)

 

H&MやGapを含むミャンマーにあるアパレル企業8社はBSR(社会的責任に関する国際的非営利団体)のミャンマー責任調達構想に加盟した。持続可能な方法で現地産業の成長を支援することを目的としている。

アジア太平洋BSR副会長のJeremy Prepscius氏は、謙虚さを持って現地産業にアプローチすることが重要であると述べ、とにかく調達は今後も増えそうだし、将来のビジョンを共有していくことになると付け加えた。

「雇用主が取り組みたいか取り組みたくないかということはたいした問題ではありません。問題は…時とともに、自然とそうなっていくことが重要なのです。」と述べた。

BSRといえば、ミャンマーは多くのブランドにとって新市場で、チャンスとリスクに適切な注意を払っていると述べた。また、品質と価格が重要なのと同様に、産業の持続性も重要であると付け加えた。

「一晩で解決できる問題ではありません。」と述べた。

ミャンマーの工場は、競争力ある人件費のようにメリットもあるが、様々な頭痛の種も抱えている。

Prepscius氏の協会はまず児童就労と、土地所有権やパートナーの適切な評価のような土地買収の問題に焦点をあてている。その他の悩みの種は、電力供給不足や深水港がないことや近年の労働競争である。

加えて、Gapはアメリカのバイヤー特有の課題に取り組む。アメリカの経済制裁はまだ完全に解除されたわけではないので、それに慎重に応じる必要がある。

ヨーロッパが2012年遡及的に非課税プログラムに基づき免税措置を再開したが、アメリカは一般特恵関税制度(GSP)を適用し、ミャンマーのアパレル産業に免税措置を提供していない。その結果、ミャンマーに来るヨーロッパのバイヤーの数はアメリカに比べ随分多い。EUは2014年ミャンマーの衣料品を235ユーロ(2億5600万米ドル)輸入し、前年比で79%増加した。一方同年のミャンマーからの全商品のアメリカ総輸入額は9300万米ドルだった。

H&Mは現在14の現地工場から調達し、H&Mのミャンマー担当サステナビリティ・マネージャーのJulia Bakutis氏は同社が今年現地に調達事務所を開設したと述べる。H&MやGapや他企業が国際規模で競争しているが国内で多くの同じ課題を共有している。

業界において最大の懸念は最低賃金が未設定であることである。ミャンマーは最低賃金を導入する法案を可決したが、具体的な金額は提示されていない。

BSRの会員は責任を持って最善を尽くしているが、この問題は縫製工らのストライキの発生源となってきた。

H&Mは公式最低賃金が設定されるまで、出資者が推奨する最低月給を設定することにより対応している。

「我々は縫製工へ賃金ベースとして支払われる最低金額をサプライヤーから要求されています。労働者が納得できる賃金を受け取るために、労働省に最低賃金レベルの設定と年1回の見直しの仕組みを期待することを伝えました。有意義な団体交渉が大変重要であると考え、昇給方法を検討しています。労働者の権利について体系化し交渉するための労働者の能力は労働条件を改善するための鍵となります。」とBakutis氏は述べた。

国際ブランドはミャンマーからの調達で利点を得ることに懸命かもしれないが、現地調達の影の部分にも十分認識している。彼らがどのように課題に取り組むかが現地産業の将来を決めるのに重要になるだろう。

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最終更新:2015年06月06日14:31

ミャンマー:アパレル縫製を進める大手欧米ブランド(前)

現在ミャンマーから輸入をしているアメリカンファッションブランドは数えるほどしかないが、かつてはミャンマーのアパレルビジネスにおいて最も巨大な市場だった。

2003年経済制裁が課されアメリカとの貿易が停止される前はミャンマーのアパレル輸出の50%以上がアメリカへ輸出されていた。制裁は大打撃となった。ほとんど一夜にしてアパレル縫製工場は閉鎖せざるをえなかった。他の市場を求める工場もあったが、日本や韓国のような国々からのバイヤーはわずかばかりを買い付けるだけで、景気は停滞した。

現在、ヤンゴンのThingangyun地区には、大半が女性の1000名以上の人々がミシンに向かっている。韓国人経営の工場で働き、再び巨大なアメリカ小売業者に向けの衣類を製造している。

アパレル産業が健全化する一方、欧米の、特にアメリカのブランドをより多く呼び戻すための課題は山積みだ。AdidasやH&Mのようなヨーロッパ企業の現地への発注は増える一方で、H&Mの場合、14の現地工場を稼働しているが、アメリカ企業はまだ小規模のままだ。

アメリカの小売業社Gapの政務及び広報担当専務Debbie Mesloh氏によると、ここ1年、同社はミャンマーにある2つの工場への衣料品の発注量を3倍に増やした。しかしながら、早急に工場を増やす予定はない。

GapはH&MやZara等に対抗すべくより素早いサプライチェーンを目指している。昨年、ミャンマーからの輸入を再開した最初の大手アメリカ企業となった。服のタグには「メイド・イン・ミャンマー(ビルマ)」と表示されている。

アウターはアメリカの消費者には評判がよく、Mesloh氏は調達先として市場全体の将来性について楽観的で、いつか「爆発」すると言う。

「多くの人が自分たちの振る舞いや今ある課題にどのように取り組むかとGapを見ていると思います。ビジネス環境は異なります。私たちはいい意味で市場に入り成長する機会だと感じていました。」と彼女は述べた。

そしてミャンマーのアパレル産業は確実に成長している。異なる数字が存在するが、ある内部関係者によると、輸出額は2014年に総額約15億米ドルで、これは、ミャンマー縫製業者協会(MGMA)の2013年の輸出額12億米ドルより25%高く、2012年の輸出額9億米ドルからすると、目覚ましい成長である。

しかしミャンマーでの操業は多くの困難を伴う。例えば、地元業者は未成年労働者を雇うこともあり、それによって、その工場は危険に晒される。

Gapの現在のミャンマーの工場は韓国企業の経営で、オーナーらは各国での勤務経験がある。工場の定期監査のため第三者を雇い、児童就労から建物の安全性まで様々な問題に対し厳格に目を向けている。

国際的ブランドでは監査はさらに一般的になっているが、しばしば反発もある。監査はたいへん厳しく、合格を勝ち取るには現地企業には荷が重い。

ヨーロッパのブランドが戻りアメリカの企業が市場を視野に入れる一方で、監査が契約の獲得の障害となり、利を得るにはミャンマー進出の外資系工場だと現地工場のオーナーは、不満を言う。

ミャンマー縫製業者協会(MGMA)副会長であり、現地企業Maple Garment代表のU Aung Win氏は、欧米の主要ブランドによって実施される監査はほぼ全てのミャンマー人経営工場が従うには厳しすぎるものであると述べる。

それよりむしろ、欧米バイヤーのほとんどは韓国、中国、台湾などのアジアの他の国々のサプライヤーと協力し、ミャンマー人経営の工場にはチャンスは回ってこない。

U Aung Win氏は、現地企業にはしばしば不可能な設備や建物の改良にかかる歳出をチェックリストは必要としていると述べる。その結果、大抵現地工場は、欧米ブランドからの10万以上の巨大な注文を受けられず、代わりに近隣国企業からの2000-3000以下の小さな注文しか受けられない。

「現地投資家は困っています。大手ブランドは今後4、5年規則を緩和するべきです。我々は貧困国なのです。」と同氏は述べた。

しかし同氏が緩和を望む規則は恐らく他の国々で議論の的になるだろう。例えば、多くの外国ブランドは労働力となる18歳未満の労働者を工場で働くことを許可しないが、一方ミャンマーの工場ではよくみられることだ。

それでもやはり、時間をかけて現地工場が国際基準により順応する方法に切り替えていけるようにと専門家は望む。

 

《後編につづく》

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最終更新:2015年06月06日11:19

ミャンマー:ファストファッション・メーカーが選ぶ新たな生産拠点(3/3)

底辺への競争

取材に対してH&Mはコメントを差し控えたが、Gapは同社委託工場においてコンプライアンスの問題があることを認めた。Gapは昨年8月、「ミャンマーでの責任ある委託生産」と題するレポートを公表し、委託契約を結んだ2件の工場で実施した初期評価で、健康面および安全面における手順や、強制的に行われている過剰な時間外労働、懲戒手順などにおいて問題が指摘されたことを明らかにした。

Gapによると、同社は労働環境の改善を目指して経営陣や労働者の育成を行っているという。だが同2件の工場のうち1件については、「ミャンマーが鎖国状態にあったことや、国際的な慣習に触れてこなかったことが原因で、人々は新たなビジネス手法を取り入れたり現行の国際基準に従ったりすることに慣れていない」と説明した。

Moodie氏の話では、今なお解決していない最大の障害とは、適切な法律が存在していないことだという。ミャンマーでは2011年に労働団体や労働争議に関する法律が可決されたが、法的な枠組みや制度化されたフレームワークという点では、労働者を適切に保護するまでに至っていない。

同氏は「ミャンマーの縫製産業は、みるみる成長しています」といい、カンボジアやバングラデシュでの状況は、「ミャンマーの労働者が必要とし、かつ望んでいる最終的な手段です」と補足した。

そして「労働者の権利を敬ったり、投資企業がその投資から多大な利益を得たりすることは、サステナブルな商慣行のビジネスモデルになります。しかしそれには政府による政策が必要です。また民間セクターの関与も必要となるでしょう」と続けた。

ヤンゴンにある、貧困根絶のための支援を行う組織「オックスファム」で政策アドバイザーを務めるDaisy Gardener氏は、安価な労働力を求めた、グローバルな「底辺への競争」では、使用者が労働者を適正に扱う必要があるのだと説いた。そして「製造業は仕事を生み出します。こうした仕事は今後、ミャンマーの若者に雇用の機会を与えるという意味で、ますます重要な役割を担うことになるでしょう。しかし労働条件が改善され、これらの仕事によって適正な賃金を手にしたとしても、人々が得るものは貧困からの脱出だけなのではないでしょうか」と持論を展開した。

Gardener氏は、各ブランドメーカーはさらに、工場に対して安定的かつ長期的に発注を行い、生産に妥当な時間を与えることで、事態は好転するのではないかと述べた。そして「メーカーがサプライヤに対して安く速く生産するよう強要すれば、結果として労働者にプレッシャーを与えることになり、オーダーを処理するためには夜間勤務を強いられることにもなります。一方で、工場に金銭的な余裕がないことから、労働者は賃金の引き上げも拒否されます」と続けた。

「ファストファッション クローゼットの中の憂鬱(Overdressed)」の著者であるElizabeth Cline氏は、格安の衣料品生産は新興国の労働者にとって問題であるだけでなく、流行を追い求める欧米諸国の消費者らにとってもためにならないことなのだと説明した。

Cline氏は、「国際環境NGOのグリンピースが明らかにしたよう、ファストファッションには、有害な染料が使われることがあります。つまりファストファッションには、健康に害を及ぼす問題があるということです」と話した。そして「また精神面からみても、ファストファッションは消費者にとって有害だと思っています。安い服を買うことは一種の習慣であり、衝動でもあります。しかしこうした習慣や衝動によって、消費者が長期的に満足することはほとんどないということが明らかにされています」といい、「人は安いから、奇抜だからといった理由で服を買います。またこうした服を目にすると、人は本能(非理性の部分)でそれを欲しいと感じます。言い換えれば、その服を買うことで、心からの満足は得ていないのだということです」と述べた。

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最終更新:2015年06月05日06:02

ミャンマー:ファストファッション・メーカーが選ぶ新たな生産拠点(2/3)

人権侵害が残した負の遺産

Rivoli教授の話では、すべての衣料品メーカーが安価な労働コストを追求しているわけではないという。同教授は、成功を収めたあるイタリアの高級衣料品生産を例に挙げた。だがそれは正に、ファストファッション・メーカーによるビジネスモデルだった。そして「このビジネスモデルは、欧米諸国で繰り広げられる顧客争奪戦が基本となっています。消費者が価格に敏感になることで、企業も価格志向型になるのです」と説明した。

世界最大手のファストファッション・ブランドのいくつかはすでに、ミャンマーに着目している。スウェーデンのアパレル大手H&Mは、2013年にミャンマーで試験的な発注を行い、昨年、本格的に委託生産を開始した。同社ウェブサイトには現在、同社製品の製造・加工を行う、ヤンゴンおよびバゴーの13件の工場が掲載されている。

衣料品メーカーのGapは、ミャンマーに進出した初の米アパレル小売大手である。同社は昨年6月、ヤンゴンにある2件の韓国系の工場で、同社傘下の「Old Navy」と「Banana Republic」ブランドのジャケットとベストの生産を開始したと発表した。

一方、スポーツ用品小売大手のAdidasは今年1月、世界各国の同社サプライヤを掲載したリストを更新し、2年に及んだ広範な「ステークホルダー・エンゲージメント」を受けて、ヤンゴンを本拠とする工場で委託生産を開始したことを追記した。アジア太平洋地域で環境・社会問題のリーダーを務めるBill Anderson氏は、ミャンマーには「強制労働や児童労働など人権侵害による負の遺産」が存在するとし、同社では慎重な対応が必要とされたと話した。

この件につき、Anderson氏は、「ミャンマーに対する国際的な貿易制裁を解除するに当たり、われわれは自らに問いかけました。『ミャンマーでビジネスをするなら、万が一のためにも、厳しい基準を設けておくべきだろうか』と。答えは『イエス』でした。そこでわれわれは『高い基準を設定すべき』との結論を出しました」と説明した。

こうしたブランドがミャンマー市場に参入すれば、他社が追随することはほぼ確実である。だが縫製産業はこれまで、近隣諸国において深刻な問題に直面してきた。最も顕著なものに、バングラデシュの首都ダッカで起きたラナ・プラザ縫製工場の崩落事故が挙げられる。この事故では、約1100人が死亡し、何千人もの労働者が負傷した。また昨年1月には、カンボジアの首都プノンペンで賃上げと労働条件の改善を要求するデモが発生し、このとき政府の治安部隊がデモ隊に向けて発砲したことにより5人が死亡した。

Moodie氏は、ミャンマーの縫製工場で、多くの労働者が労働力の搾取に耐えて働いている姿は、産業革命期に英国の工場で働いていた労働者の姿を彷彿させると語った。

ヤンゴンでは2月、労働者によるストライキの機運が高まりをみせ、何千人もの労働者が賃上げと労働条件の改善を求めてデモ行進を行った。それにより警官との衝突が起き、労働組合のトップ2名が逮捕された。

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最終更新:2015年06月04日14:01

ミャンマー:ファストファッション・メーカーが選ぶ新たな生産拠点(1/3)

数十年に及ぶ鎖国体制から開国路線へと転じたミャンマー。安価な労働力のおかげで、これまで経済制裁を受けていたこの国に、世界の衣料品メーカーが殺到している。

わずか5年前まで、ミャンマーは世界各国から孤立した状態だった。ミャンマーでは、軍事政権が人権を無視した圧政を敷いており、このため世界がこの国に経済制裁を科していたからだ。

米国が主体となったこの国際制裁によって、ミャンマーでビジネスを行う欧米企業はほとんどいなくなった。旧首都ヤンゴンで、コカ・コーラなど世界的に有名なブランドを目にすると、それは不法な密輸とみなされた。また外資系の衣料品メーカー数社がミャンマーに生産拠点を設け、海外からのわずかなオーダーに対応している状態だった。

だが風向きは変わった。2010年に、民主化運動主導者のアウン・サン・スー・チー氏が自宅軟禁を解かれて解放され、世の中が改革路線へと移行すると、引き続き軍事政権下ではあったが、政府は2012年までに通商禁止を緩和する方針を打ち出した。

繊維・アパレル業界のウェブサイト「just-style」によると、ミャンマーでは2011年、縫製工場の数が前年の120件から200件にまで増加したほか、衣料品輸出が7億7000万ドルにまで達したという。今日、縫製産業で働く労働者の数は推計20万人といわれており、この数は2010年と比べると10倍にまで増加した。また米国の制裁が強化された2003年以前と比較すると2倍の増加となっている。ミャンマー衣料品製造業者協会(MGMA)によれば、平均して毎週2件の工場が操業を開始しており、また昨年の衣料品輸出は15億ドルにまで上ったという。

だがこうした傾向は、ミャンマーが新たに開国政策を進め、衣料品メーカーを呼び戻したことだけに起因しているわけではない。ミャンマーの賃金はバングラデシュの次に低く、アジアでも最低レベルにある。1962年以降、軍事支配下にあるミャンマーでは、この安価な労働力が、世界を魅了する要因となっている。関係者らは協議を進めているが、現在のところミャンマーには、最低賃金制度がない。比政府組織であるビルマ・パートナーシップによれば、ヤンゴンの縫製労働者は通常、残業手当込みで平均80ドルの月収を得ているという。

 

海外への委託生産

ビルマ・パートナーシップで擁護官および調査官を務めるAlex Moodie氏は、ミャンマーでは、基本給は「極端に低く」、人々は生計を立てるために極めて長時間の労働を余儀なくされていると話す。Moodie氏は、「給与には複雑な仕組みがあります。例えば、時間外労働や特別手当、賃金から差し引かれる額などです。すなわち基本的に労働者の多くは、平均80ドルの月収を手にするために、毎日時間外労働をしなければならず、1日に10~12時間、1週間に6~7日間働いているのです」と説明した。

ミャンマーは現在、東南アジアで最も貧しく、最も機能不全な国とされている。だが一方で近年の成長においては、大手有名ブランドなど衣料品メーカーらがここ数十年取ってきた方法、つまり「労働コストの低い国に生産拠点を移す」という方法によって成り立っている。

欧米諸国が衣料品生産を外部に委託しようと考え始めたのは、第二次世界大戦のときだった。1960年代初頭には、日本が衣料品の生産拠点として好ましい場所とされた。70年代になると、80年代に中国が台頭するまで、香港、台湾、韓国が注目を集めるようになった。

米ジョージタウン大学でファイナンスおよび国際ビジネスを教えるPietra Rivoli教授によると、衣料品メーカーの多くは、安価な労働力を利用できる限りその国で生産を続けるものだという。同教授は「あなたのTシャツはどこから来たのか?(The Travels of a T-Shirt in a Global Economy)」の著者でもある。

Rivoli教授は、「中国は今なお群を抜いたグローバルリーダーですが、そこにも賃金上昇の問題はあります。そのため、生産拠点がバングラデシュやベトナムなど別の国へとシフトされるのを随分とみてきました」と話した。

オーストラリアを拠点とするオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)によると、ミャンマーも現在、明らかに製造業を視野に入れているという。4月下旬、同銀行は「ASEAN、次の視野」と題するレポートを公表し、その中でミャンマーの安価な労働力が、カンボジア、ラオスとともにいわゆる「メコン・フロンティア」を形成しているのだと述べた。またこうした労働力が、次の10年の東南アジアの製造ブームの原動力になるのではないかと考えている。

同レポートを執筆したエコノミストらは、「東南アジア諸国は今後10~15年にわたって、中国の『世界の工場』としての地位を担うことになるだろう。一方企業は、安価で豊富な労働力を利用しようと、メコン地域のような国へ生産拠点をシフトするだろう」と推測している。

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最終更新:2015年06月04日06:01

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