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カンボジア:恐ろしい交通事故、アパレル労働者の通勤条件の悪さを露呈(前)

19歳のLang Srey Sarさんは、わずか数週間前まで彼女の腕があった場所を見ている。

カンボジアの工場労働者は恐ろしい交通事故で手足を失った。「私は腕が無いのです…。私は羽のない鳥のようです」と彼女は言う。

Srey Sarさんは44日、荷台部分に乗るトラックで工場へ向かう約40人のアパレル労働者の内の一人だった。運転手が追い越そうとした際にセメントミキサートラックと衝突した。18人の女性が負傷し、5人は金属製のフレームに掴まっていたが、それぞれ腕を失った。

Roeun Kunthearさん(31歳)もその一人である。「私は自分の腕が肩から切り落とされるのを見ました。腕が袖から落ちているのを見た時に何が起こったのか気付いたのです」とカンボジアの首都プノンペンから約50 kmにあるカンポン・スプー州の彼女の村でSouth China Morning Post紙に語った。

腕が切断された労働者によると、救急車は30分後に現場に到着したという。

しかし、彼らの怪我はとても深刻だったので、地元の病院は怪我に必要な手術を扱うことができず、2時間後に別の病院に運ばれた。

アパレル産業はカンボジア最大の民間事業で、最大80万人の工場労働者を雇用している。何万もの人々が荷台部分に乗るトラックに詰め込まれ職場までの道を行き来する。それらは常に定員オーバーで、最大70人の女性が家畜のようにぎゅうぎゅう詰めにされており、多くの乗客はバランスを保つために鉄のフレームを握っている。事故は頻繁に起こる。

労働職業訓練省の統計によると、2017年のカンボジアでのアパレル労働者の交通事故は4853件と記録されている。

68人の労働者が死亡し、683人が重傷を負った。事故の数は昨年、18849人に減少し、40人が死亡、349人が重傷を負った。同省によると、2017年の事故の内45.5%はトラック運転手によるものであり、前年は43%だった。

トラックで労働者を輸送するという慣習は、長年労働活動家やNGOによって批判されてきたが、措置が改善されるという誓約にもかかわらず、現状はほとんど変わっていない。

カンボジア労働連盟会長兼カンボジア国家社会保障基金役員で、労働者を経済的に支援する任務を抱えているAth Thorn氏は、同国における交通事故の問題は「体系的」であると述べている。

「一つの問題を直すことはできないですが、そこからすべての問題が解決されると考えることができます。多くの場合、トラック運転手はただ単に収入を増やすために、できるだけ多くの労働者をトラックに詰め込んでいるのです。トラックは過負荷で、運転速度が早過ぎ、交通安全を最優先事項と考えていません。 多くの運転手は非常に若いのです…。彼らは交通規則を知らず、時には飲酒運転さえしています」と同氏は述べる。

運転手のThon Vannaさん(38歳)は、5人の女性が手足を失った場所と同じ地域の工場に労働者を運搬している。

「その事故が起こったときは本当に怖かったです。その事故があり、私はより慎重に運転するようになりました」とVannaさんは述べた。

彼は、街灯がないことが運転中の最大の危険の一つであると付け加えた。

「暗くなってくると、道路の穴やカーブが見えにくい場合があります。ドライバーが十分に注意を払わないと、事故が発生する可能性があります」

事故で腕を失ったもう一人の女性、Phy Khemさん(19歳)はまだ彼女の故郷の村で回復中である。 彼女は長女で下に3人の兄弟がいる。彼女が稼いだお金は家族を支えていた。「残業代を含めて、私は月に約250米ドルを稼いでいました。母親に230米ドルを渡し、交通費に10米ドルを使い、残りの10米ドルをお小遣いのために残していました」と彼女は述べた。

近くの村に住んでいる26歳のKhom Srey PenhさんがKhemさんの下に訪れた。同じ事故で腕を失ったにもかかわらず、彼女は娘を前に座らせてバイクに乗って来た。

「私はまだショックを受けていて、事故によるトラウマを抱えています。今はまだトラックが怖いです。工場は今後私たちがどのような作業ができるか見に来ても良いと言いますが、私はトラック通勤はもう決してしたくありません」と語った。

女性の窮状は、アパレル労働者の通勤手段の危険性に世間の注目を戻した。Ath Thorn氏は、現状を改善するにはすべての利害関係者が協力する必要があると述べた。

「政府と雇用主は運転手に安全な交通手段を提供することに責任を持たせる必要があります。運転手はトラックに人を詰め込み過ぎず、労働者により高い運賃を払うことを期待してはいけません。通勤手段を確実に安全な状態にするのは政府と雇用主の責任です」と同氏は述べた。

運転手のVannaさんはその原則に同意し、より多くの訓練と意識付けが助けになるだろうと認めた。 しかし彼は、運転手は難しい状況の中で行き詰まっている、と付け加える。運転手の収入は非常に少なく、彼らはできるだけ多くの乗客を運ぶことを強いられている、と彼は述べる。

「運転手はガソリンを購入する必要がありますし、私たちの多くは、トラック購入のために借りたローンをまだ返済しています。 乗客が減れば利益を上げることはできません」労働組合員のSeak Hongさんは、長い間、通勤方法に関して懸念してきたと言う。4月の事故の後、労働者たちはさらに不安が高まっている、と彼女は述べる。

「その事故以来、私たち全員がより慎重になりました。トラックが別の車を追い越すたびに、必ず手を離します。こんな恐ろしい事故はもう二度と起きないようにしたいのです」

 

(後編につづく)



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最終更新:2019年06月22日

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