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カンボジア:しばしば事故を起こす平台トラックの荷台に立って出勤する縫製労働者たち(前)

通勤に命の危機

Sao Nyさんは、毎朝平台トラックの荷台に乗るたびに、恐ろしい記憶がよみがえる。大きな防水シートが空を舞い、トラックのフロントガラスに当たったことによって、運転手が道を外れて事故を起こす。

Nyさんは昼休みに縫製工場の外で座りながら、3年前の事故をはっきりと思い出していた。彼女は平台トラックの荷台に立って、彼女は自宅のあるコンポンスプー州からカンダル州の工場に向かっていた。

運転手が国道4号線を進んでいた時、前を走っていたトラックの防水シートが風に吹き飛ばされ、彼女の乗るトラックのフロントガラスを覆ったことによりトラックが横転、乗っていた労働者らは荷台から投げ出された。

「私は日々、仕事に行くのに不安を感じています。」と31歳のNyさんは言う。「3年前の事故では死者は出ませんでしたが、それは恐ろしいものでした。今でも私は出勤する際いつも、皆と共に運転手に対し、慎重かつゆっくりと運転するように頼んでいます。私はただ無事に自宅に戻り、息子や夫と一緒に過ごすができればいいだけなのです。」と彼女は続けた。

70万人の縫製労働者の大半は、毎朝出勤するのに平台トラックの荷台に乗せられていくが、いつも5070人がすし詰めの状態で、まるで牛であるかのように運ばれる。

労働省は最近、2017年は縫製労働者の事故が前年と比較して56%も減少したと報じたが、Hun Sen首相が演説で明らかにしたように、危険な通勤の実態は改善されないままである。

「労働者を運ぶトラックの安全性の問題には対処が必要です。労働者を運ぶトラックは、過去に衝突や転倒事故を起こしており、通勤時に事故によって労働者が死亡したり怪我をしたりしないよう、注意、監視を要する問題です。」とHun Sen首相は述べた。

労働省によると、昨年68人の労働者が事故によって死亡、683人が重傷を負い、さらに4102人が軽傷を負った。また、2016年には118人の労働者が死亡し、1293人が重傷を負った。

土曜日には、タケオ州の国道2号線で5トントラックが労働者の乗るミニバスに突っ込み、1人の労働者が死亡、12人がケガを負った。

また今月の初めにコンポンスプー州で、縫製労働者を運んでいたトラックに別のトラックから外れたホイールが直撃し、1人が死亡、約50人がケガをした。

トラック運転手のDim Chhengさん(34歳)は、Nyさんの働く工場の外で、5070人の労働者を運ぶのに使用する2トントラックのそばにある木陰で座って休んでいる。

Chhengさんは縫製労働者の輸送基準は安全ではないと認めるものの、彼自身としてはイワシのように労働者をトラックに詰め込む以外に選択肢はないのだと述べた。

「安全性のためには、より少人数の労働者を輸送するのが望ましいのですが、人数が少なすぎるとガソリン代を支払う余裕がなくなるのです。」と彼は言った。

Chhengさんは、運転中にしばしばトラックが不安定になっていると感じることがあるが、そんな時は乗客の安全を確保するために慎重に運転するよう注意していると言った。

「私は4年以上も労働者を輸送していますが、労働者からの要請に応じて非常に慎重に、ゆっくりと運転するため、事故は一度も起こしていません。」と彼は言った。「ですが、私は何度か事故を目撃したことはあり、いずれの場合もトラックが労働者をすし詰めにして過積載であったことが主因です。」

そしてChhengさんは声をひそめ、ドライバーの中には、朝に労働者を降ろした後、帰宅するのを待っている間にアルコールを飲む者もいると言った。

「自制することができるドライバーもいますが、中には酔っ払ったままのドライバーもいます。」と彼は言った。

Chhengさんは、工場、バイヤー、政府を含むすべてのステークホルダーが計画立てて、ドライバーにより安全なトラックを確保することを支援するのであれば、自分も賛同するだろうと述べた。

「工場労働者を輸送しているトラック運転手は、今の荷物運搬用トラックから乗用トラックに乗り換えて安全に労働者を輸送し、平台トラックにすし詰めにすることなどは止めたいと考えています。」と彼は言った。

この件に関して、カンボジア縫製業協会の代表からコメントを得ることはできなかった。



(後編につづく)



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最終更新:2018年03月29日

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