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カンボジア:社会保障基金(NSSF)への企業負担金が1月から増額

1月から施行される政府の政策により、従業員のため政府が管理する社会保障基金への企業負担金が上昇することとなった。これにより、カンボジアではまだ生まれたばかりの民間・公的な医療保険システムに様々な影響が及ぶと予想されている。

昨年労働省が発出した省令と政令によると、201811日以降、1人以上を雇用する全ての企業は従業員の毎月の平均給与の3.4%(最高でおよそ8.5ドル)を国家社会保障基金(NSSF)に支払うことが義務付けられる。この資金は労働者の障害保険と健康管理に充てられる。

官僚や労働組合のリーダーらはこの動きを労働者の健康保険を拡大するものとして歓迎しているが、これにより現在高度な健康保険を提供している民間企業がその提供を取りやめる可能性があると予測されている。

かつて、NSSFには企業が従業員の平均給与の1.3%を支払い、従業員が私費でさらに1.3%を納付していた。今回の政策で、最低賃金で労働者を雇用している工場所有者は労働者1人につき今までの年間26ドルから大幅に上昇したおよそ70ドルを納付する必要がある。

独立系労働組合、カンボジア労働連盟のAth Thorn会長は、新たな政策は縫製労働者の生活の質を向上させるとして歓迎している。

「縫製労働者が他の目的にお金を使えるようになる。しかし、企業側はカンボジアで他国よりも安価に生産しているとはいえ、追加の支出を快く思わない企業もあるだろう」と彼は述べた。

労働省のHeng Sour報道官は、新たな健康保険システムは企業にとって過大な財政負担にはならないだろうと話す。

「この政策が新たな投資家のカンボジアへの進出を阻害することにはならないだろう。政府は企業側のコストを上昇させないよう、輸出管理税、前払税の控除を行うからだ」と話す。控除額は4000万ドルに及ぶ見込みという。

しかし、こうした控除にも関わらず、NSSFへのさらなる出資を余儀なくされた企業の多くが、今まで提供してきた私的な健康保険システムを廃止することになるだろうとMekong Strategic PartnersStephen Higginsは予測する。

「中規模から大規模企業の多くはすでに独自の健康保険システムを提供してきた。それにより、従業員は民間のクリニックや病院にかかることができた。しかし今後は、社会保障システムを二種類並存させるよりも、既存の私的な健康保険を廃止し、NSSFのみとする企業も出てくるだろう。そうなると従業員には実質的には不利になることもあり得る」

Cambodian Investment Management Anthony Galliano CEOは、こうした企業が私的な健康保険システムを廃止すれば、カンボジアの民間保険産業、そして労働者も不利益を被るだろうと話す。

「従業員に対し民間の事故補償を利用していた企業が、NSSFへの分担金の増額を理由に契約の延長を取りやめる事例がすでに出てきている。NSSFの補償が民間の保険会社の補償と同程度のものになるかは今後判明するが、こうした大規模な事例はまだないだけに、実際、労働者が補償が充実した民間保険と引き換えに補償がよくないNSSFを利用することになる可能性がある」と彼は話す。



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最終更新:2018年01月17日

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