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カンボジア:繊維輸出産業に重くのしかかる最低賃金の引き上げ

カンボジアでは今年繊維労働者の賃金が11%引き上げられるが、これが国の輸出部門にとってさらなる経済的圧迫となることが予想されている。

過去5年間で150%増となっているカンボジアの最低賃金は、繊維産業の労働者70万名を対象に、月額153米ドルから170米ドルに引き上げられる。

関税消費税総局によると衣料品・履物製品が国の輸出の78%を占めており、2016年には7.2%増加の73億米ドルとなった。そのほとんどがヨーロッパ、アメリカ向けで、それぞれ市場の45%25%を占めている。

しかしながら、2017年の成長率は5%に停滞するとカンボジア縫製業協会(GMAC)は予測しており、最低賃金の引き上げが低コストの生産拠点としてのベトナムの強みを徐々に失わせる結果になると警告している。

GMACはカンボジアの繊維企業520社、履物企業52社を代表する団体であるが、昨年の工場開設数が25であった一方、閉鎖数は53となったことを明かした。

カンボジア縫製業協会のKaing Monika副会長はThe Phnom Penh Postに対し、賃金に引き上げに伴いGMAC会員の大半が利益を出すのに苦労することになるだろうと述べた。 同氏は政府に対し、賃金の引き上げをロジスティックにかかるコストの引き下げにより相殺するよう勧告した。

輸出管理費用の半減や、カンボジア輸出入・検査・不正防止総局(Camcontrol)が課す費用の引き下げなどがGMACの提案には含まれている。

コンテナあたり50米ドルである現在のCamcontrolの監査費用を、税関局が課す費用と同じ15米ドルに引き下げるべきであるとMonika氏は述べた。

一方Scan Global Logistics Cambodia社のPich Ngun社長は、賃上げが影響してカンボジアから即座に撤退する繊維メーカーがあるとは考え難いと述べた。

「近隣諸国と比較すれば、この賃金額は大した懸念事項ではありません。」と同氏はThe Loadstarに語った。中国やタイの賃金の方がはるかに高く、またベトナムでも同じようなペースで賃上げを続けていると同氏は言う。

「ミャンマーはカンボジアより低いものの、少数民族問題や軍事統制といった諸問題があります。スリランカやバングラデシュの競争力は高いですが、カンボジアもいい線を行っており、これ(賃上げ)が原因でメーカーが撤退することはないでしょう。」とNgun氏は述べた。

世界銀行によると、繊維部門の低迷は輸出の多様化により相殺できる可能性が高いと言う。

「衣料品からエレクトロニクス、自動車部品まで、カンボジアはまさに今、生産のバリューチェーンを登りつつあります。」と世界銀行のInguna Dobrajaカントリーマネージャーは述べた。

Ngunもこれに賛同し、「労働コスト引き上げの声が途絶えることは決してないため、カンボジアは多角化しなければなりません。」と述べた。

「これに対処すべく、カンボジアは価値のより高い産業を導入しなければならないのです。日本やその他の国から投資はすでに行われていますが、まだそれほど目立ってはいません。」

一方でフンセン首相による、野党やメディア、NGOに対する最近の弾圧など、カンボジアでは政治不安が高まっている。

「翌年の総選挙に対する不安が高まっているなど、外国の投資家にとって政治の安定性は大きな懸念事項となっています。」とNgun氏は述べた。先月最大野党の一つが最高裁判所によって解散させられたことを受け、アメリカやヨーロッパでは国家選挙管理委員会の信頼性に対して懸念が寄せられている。

「状況が改善しないようであれば、アメリややEUはいくつかのカンボジア製品に認められている免税輸入を再考しなければならず、私たちのロジスティクス産業にとって大きな痛手となります。」



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最終更新:2018年01月11日

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