インドシナニュース

2016年09月 のニュース一覧

カンボジア:労働法違反の疑いによりH&Mの主要サプライヤーを非難

スウェーデンの衣料品大手H&Mの主要サプライヤー4社が、短期契約の継続的な更新による従業員の組織化の阻害や、あるケースでは140米ドルの最低賃金より低い額を労働者に支払っている疑いがあるとして、地元の労働権利団体により非難された。

労働権利NGOであるCentralがH&Mのサプライヤー4社の従業員38名を対象に調査し、「『最良』が良好をはるかに凌駕しているとき」と題されたレポートを金曜日に発表した。H&Mは労働基準や法に関するサプライヤーコンプライアンスを示す指標を設けているが、調査対象4社の内3社は「プラチナ」、1社は「ゴールド」の工場カテゴリーに属していた。

H&Mは労働者に公正な生活賃金を保証する公約を掲げているが、レポートによると「トップランク」と「優先」カテゴリーの工場ですら業界平均に達成していなかったという。

例えば、プラチナサプライヤー3社(Eastex Garment社、プノンペンのSeduno Investment Cambo Fashion社、カンダル州のVanco Industrial社)は労働者に対して月額平均172米ドル支払っているが、これは最低賃金こそクリアしているものの、業界平均の178米ドルを下回る額であることが判明している。

さらに、4社目のサプライヤー(プノンペンのM&V International社)は今年から、法で定められた140米ドルの支払いさえも怠っていると伝えられている。2015年半ばには、労働者に対し業界平均以上の額を支払っていたが、本年に入り受注数が下落したため作業停止に陥り、伝えられるところでは停止期間中労働者への支払いがされておらず、平均賃金が労働法に違反する、最低で月額136米ドルとなることを余儀なくされていたという。

オランダを拠点とするクリーン・クローズ・キャンペーンのCarin Leffler氏は、長期に渡りブランドのサプライチェーンに対する経営方法を非難していたが、「M&Vの発注を至急確保し、カンボジアのH&M工場での労働賃金の相当額の引き上げに対する具体的なステップを踏む」ようH&Mに要請した。

Centralのレポートはまた、H&Mの公約に関するその他の違反も指摘している。プラチナの3工場で働く労働者は、5-10分の遅刻に対して2.5-15米ドルが給与から差し引かれていたというが、これはH&Mが認めていないとされる懲戒処分に当たる。またH&Mによると、2年間勤続した労働者は無期限の契約が得られると保証されているが、同調査により、EastexとVancoでは2-6か月の短期契約が繰り返し適用されていたことが判明した。

労働省、4工場のいずれとも昨日の取材には応じていない。

調査結果を提示された際、H&Mは、本レポートで取り上げられているいずれの懸念に対しても対処せず、サプライチェーンの改善のために複数の関係者と働いていると表明しただけであった。「レポートでは、我々が日々取り組んでいる、我々の調達先のすべての市場で見られる主要な問題を取り上げています」と同社スポークスマンはemailにて回答した。

カンボジアアパレル労働者民主組合連合のAth Thorn代表は、レポートは読んでいないものの、もしM&Vが最低賃金法を違反している場合は労働者に補償すべきであると述べた。

また同氏によると、短期契約の横行は労働法のずさんな履行の結果であり、「驚くべきことではない」という。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月30日12:04

カンボジア:Walmart、Nike他、縫製産業の月額40ドルの賃金引き上げ支持を否定(後)

(前編より)

 

しかし経済的利益が何よりも優先されることとなるだろう、とビジネスと人権を扱うNYU Stern センターのシニアアドバイザーで、公正労働協会の元会長であるAuret van Heerden氏は述べた。

請負工場の経営者は賃上げに消極的である。なぜなら彼らのバイヤーが増加した労働コスト分を吸収し、値上げしてくれる保証がないためである。さらに、多くの縫製工場は一般的に短期契約の元で運営されており、わずか数ヶ月分しか契約を結んでいないため、工場経営者が一方的に賃上げして契約単価を上げることを要求すれば、将来のビジネスを失うリスクが生じる。バイヤーはカンボジアの他の工場に購買先を切り替えるか、バングラデシュやミャンマーなど、海外の安価な労働力を求めるようになるかもしれない。

「多くの請負工場経営者は個人的にはバイヤーやブランドについて、調達価格を切り下げる一方で、より多くの労働コストを請負工場側が吸収することを求めているとし、問題の一端を担うものとして彼らを非難しています。」とvan Heerden氏は述べた。

もちろんブランド側がより高い賃金支払いを保証するために長期契約を結べばよいのであるが、実際はそうはしない。そして現時点で彼らは、カンボジアにおけるビジネスや政治的パートナーを失望させるのを恐れ、最低賃金の議論に巻き込まれたくないと考えている、とvan Heerden氏は解説した。

「もしブランドが賃上げ交渉に介入すれば、政府や業界団体の反感を買ってしまうでしょう。また自社の調達先である工場経営者も敵に回してしまうことになります。」とvan Heerden氏は述べた。「ブランドは、政府、業界団体、工場経営者の3者のつま先を踏みつけることになることを恐れ、よほどの場合を除いて労働組合に評価されたいとは考えないでしょう。私は彼らがその議論に巻き込まれたくない理由を容易に理解することができます。」

Rhode Island大学の歴史学教授であり、会社のアウトソーシングに関する悲劇的結末を綴った長編ストーリー「Out of Sight」の作者であるErik Loomis氏は、ブランドは容易に賃上げを吸収することができる、と考えている。

米証券取引委員会(SEC)に提出された企業の最新業績によると、財務の健全性と多額の利益が示されている。また近年、いくつかの小売業者はいわゆる自社株買戻しに躊躇なく何十億米ドルもの資金を投入し、自社株の価値を増加させ、株主の利益を膨らませるために巨額の投資を行っていることが分かる。昨年Walmartは、自社株買戻しで200億米ドルを投じることを承認した。Nikeは直近4年間で80億米ドルの自社株買戻しを盛んに実施した。Gap Inc.は2月に比較的控えめに10億米ドルの自社株買い計画を公表した。

「最低賃金に月額40米ドルを追加することはこれらの大企業にとって本当にささいなことです。」とLoomis氏は述べた。「もう一度考え直してみましょう。それは月額40米ドルで、1日当たりでも1週当たりでもありません。私たちは、一人の労働者1日当り、たった数ドルの議論をしているのです。」

 

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月28日12:08

カンボジア:Walmart、Nike他、縫製産業の月額40ドルの賃金引き上げ支持を否定(前)

独裁主義的な法規制で、世界でも最悪の労働環境の国の一つとされるカンボジアから衣料品を調達している大手の欧米系小売業者は、衣料品産業の最低賃金を月額約40米ドルへ賃上げする提案について支持しないことを表明した。

東南アジアの近隣諸国同様、カンボジアはアメリカや欧州のブランドにとって繊維製品や履物生産の主要な委託先である。カンボジアは市場へのアクセスが容易で、何よりも安い労働力を提供している。そうした背景により、Walmart やNikeなどトップ企業からの委託契約に牽引され、衣料品・履物輸出は過去10年間で2倍以上増加している。

しかしアパレル業界は順風満帆なわけではない。近年この業界で圧倒的に多数を占める女性労働者がより高い賃金を求めてマス・ストライキや抗議活動を繰り広げ、何人かの労働者が2014年1月の警察の取り締まりで殺害される事件も起きた。そして今、更なる緊張が高まっている。

今月数十万人の縫製労働者を代表する労働組合は、現状月額140米ドルのアパレル業界最低賃金水準を179.6米ドルまで引き上げることを提案したが、彼女らは工場経営者のロビー団体であるカンボジア縫製業協会(GMAC)からの強い反対に会い、月額144.20米ドルのカウンターオファーを示された。多くの欧米ブランドもまた、組合の提案に対して支持しないことを表明した。

In These Times誌はカンボジアに委託契約を持つ欧米系の大手ブランドのうち、Walmart、Nike、Adidas、Levi Strauss & Co.、H&M、Gap Inc.の6社にアプローチし、組合の要求する最低賃金引き上げに対する意見を求めた結果、いずれの会社も提案支持を表明しなかった。WalmartとNikeは回答を示さず、Adidas、Levi’s、H&M、Gapの4社は現在進められている賃金交渉をサポートすることだけを強調した。

「H&Mは、カンボジアの縫製産業における透明性のある最低賃金の定期交渉プロセスを歓迎します。」と同社の広報担当者であるUlrika Isaksson氏は述べた。「我々は当事者同士が誠実に交渉し、双方にとって受け入れられる結果となることを強く願っています。」

H&Mは2014年に労働者は「適正な生活賃金を受ける権利を持っている」ことを主張し、書簡をカンボジアの副首相に送ったグループの一員であった。

労働者の権利団体らは、欧米のブランドは今こそ強い意志を示すべきだとしている。

「彼らは労働組合の賃金引上げ提案をバックアップし、責任を持って実行すべきです。」とミャンマーを拠点としてビジネスと人権に関するコンサルティングを行うIrene Pietropaoli氏は述べた。「彼らにはそのような法的義務はないものの、明らかにこの交渉の鍵を握る存在なのです。そのため彼らは自ら率先して「影響力」を行使し、ビジネスと人権に関する国連フレームワークの文言を利用するなどして、政府に影響を及ぼしていく倫理的な責任があると考えます。」

2011年に国連人権理事会によって起草、承認されたこの画期的な文書は、企業に対して「人権に対する不利益」を防止するために、彼らの「影響力」を行使することを求めている。

労働者の側からすると、(交渉の成否は)正にこれにかかっている。労働組合や権利団体の国際的な提携組織であるアジア最低賃金同盟(Asia Floor Wage Alliance)は、衣料品産業に焦点を当て、カンボジアの「生活賃金」は月額283米ドルであると算出、その額は組合の要求する額よりもはるかに高いと主張した。

 

(後編へつづく)

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月28日06:07

カンボジア:労働者が抗議活動で幹線道路を封鎖

カンダル州Saang郡のGreat Honour Textile Factoryの労働者らは9月19日、工場前の道路を封鎖した。労働者らは封鎖解除の条件として7月に工場所有者が従業員への給与支払いをせずに出国した問題への政府の介入を求めている。

この縫製工場の900人以上の労働者は、未払賃金と手当ての支払いを求めて7月以来抗議活動を行っている。労働法では賃金と手当ては工場が正式に閉鎖する前に支払われなければならない。

この工場で9年以上働いてきた29歳のSan Chanthouは、政府がすでに数ヶ月も労働者らの訴えを無視してきたこの問題に介入・支援するまでは道路の封鎖を日夜続けると話す。

「これは私たちに残された最後の選択肢で、解決を求めるキャンペーンでもあります。公道を封鎖するのは違法だと知っていますが、他の方法がないのです」と彼女は話す。

彼女はまた、労働者らは既にカンダル州のすべての関連部局、プノンペンの労働省、フン・セン首相の官邸に足を運んだと話す。しかし、彼らの請願に答える人は誰もいなかったという。

「カンダル州職員はとにかく待つようにと言いましたが、私たちは解決までにどれだけの時間がかかるかもわからないのです。もしそうしなければならないのであれば路上で寝ます」と彼女は続けた。

カンダル州労働局のThol Neang局長から昨日コメントを得ることはできなかった。

数年にわたって、労働者や労働組合は工場所有者が国外に逃げた場合に対応を取らない政府を批判してきた。今年も数十人の工場経営者が逃げているが、従業員には数週間か数日前に閉鎖を告げた場合もあれば、全く何も知らせなかった場合もあった。

労働組合はこうした行いは縫製産業労働者の信頼を裏切り、給与でようやく生計を立てている多くの労働者の生活を脅かすものだと述べた。

労働者らは政府に対し、もし工場経営者が国外に逃げても従業員がいくらかの支払いを受けられるよう、工場経営者は開業前にカンボジアの銀行に預金することを義務化するよう求めている。

Ith Samheng労働大臣は2週間前のスピーチで、政府はこの問題を解決するための方策を検討していると話したが、その詳細や、いつになったら政府が蔓延するこの問題へのアクションを取るのかというスケジュールについては言及しなかった。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月23日12:01

カンボジア:縫製業界、最低賃金交渉第1日目は成果なし

9月14日にカンボジアの民間分野で最多の雇用者を擁する縫製業界の工場経営者側と労働組合側が新たな最低賃金について第1回目の交渉を行ったが、両者ともにそれぞれの提案を譲らずに終わった。

カンボジア縫製業協会(GMAC)は、業界の生存のためには最低賃金の引き下げすら考慮すべきであるとし、現行の月額最低賃金140米ドルから4.2米ドルの増額を提案した。労働組合は179.6米ドル前後で合意の上、賃金交渉に臨んでいる。

「提案額が低すぎたため、今朝の交渉では合意しませんでした」と労働者運動共同労働組合のPav Sina代表は話す。交渉では146.37米ドルが提示されたという。

「経営者側はインフレと生産性という二点を取り上げましたが、労働者の支出や、競合関係など交渉すべきポイントはさらに3つも4つもあります」とSina代表は話す。

Sina代表は、15日に開催されるフォローアップ会合の前に提案金額を引き下げることを組合間で合意したと明かしたが、具体的な金額には言及しなかった。

「179.60 米ドルという額は交渉の材料として提示しています。絶対的な金額ではありません。しかし、どんなにつつましい生活をしている労働者でも1か月に171米ドルは必要です」とSina代表は言う。

著名な政府系労働組合のリーダーであるSom Aun氏は、経営者側は柔軟だと楽観視していると話す。

「経営者側はまだ最終的案を出していないと思います。これから提案金額をさらに引き上げていくことを希望しています」

9月9日のある会合で、労働省は「経済的、社会的要素」を考慮し最低賃金148.19米ドルを提案した。14日に労働省のコメントを得ることはできなかった。

縫製業協会のKen Loo会長は、(「それが法律というものですから」)工場側はどのようなものであれ政府の決定に従うと話す。しかし、カンボジアで60万人以上を雇用し、昨年60億米ドルもの輸出を実現させた縫製産業はすでに苦境にあるとも述べた。

「縫製産業はどれだけ支払えるのかというと、実際のところ、140米ドルですら持続可能な金額ではありません。競争力という面から言えば、最低賃金は引き下げるべきなのです」

国際労働機関(ILO)によると、カンボジアの縫製業界では生産コストの上昇と外国バイヤーからの発注価格の低迷で労働者一人あたりの生産性は低下しつつある。

最低賃金は過去3年で倍以上になったが、労働組合側は20年近く低迷していた最低賃金はまだ生活費に追いついていないとしている。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月19日12:02

カンボジア:政府の希望する最低賃金引上額は月額8米ドル

カンボジア政府は、技術作業部会の会合中に衣類・履物産業における2017年の新最低賃金の目安額を発表し、5%のみの上昇となる月額8米ドルの引き上げを目指す事を出席者に告げた。

事業者や工場オーナーの翌年の最低賃金に対する希望上昇額が4米ドルであるのに対し、労働組合は月額40米ドルの引き上げを要請していた。労働省の発表によると、技術作業部会は先週金曜日に、事業者代表、労働者代表、政府関係者がそれぞれ16名ずつ出席のもと、企業、労働組合、政府の三者間交渉で開始したが、会合中の合意には至らなかった。

9月26日に再度三者間による会合が開かれる予定である。

労働組合連合(NTUC)のFa Saly議長は、三者とも、まだ最低賃金額の提示とその根拠を説明する、交渉の初期段階にある、と説明した。

「会合中、労働者と事業者の代表がそれぞれの提示額に関して議論していた所、5%または8米ドル以上の引き上げであるこの金額を政府関係者が提示し、検討するよう両者に告げたのです。」

Saly氏によると、この金額は交渉の開始点であり、政府側関係者からもその点が明確に説明されたため、組合側からも企業側からも、これに対する特別強い反応はなかったという。しかしながら、組合側は最低賃金額を可能な限り引き上げるべく戦い、今月後半の休日(Pchum Ben Day)までの金額合意を目指すことを伝えた。

「労働者の利益のために、ベストを尽くします。」と彼は述べた。

労働組合は金曜日の午後に労働省と個別面談し、企業側は9月12日に面談予定である。

労働組合と事業者代表は先週、新最低賃金に対するそれぞれの希望額を発表した。労働者側が180米ドル、企業側が144米ドルと、交渉開始時点の隔たりは大きい。

カンボジア縫製業協会(GMAC)は、繊維・履物部門は「カンボジア国内で様々な変化を経験している」ため、最低賃金の上昇率は3%のみとするべきだと、提示額をインフレーションに結びつけて説明した。

GMACは、バイヤーやブランドオーナーからの受注額の減少や労働生産性の下降、そして輸出や産業成長率のただならぬ低下を憂慮していると説明し、また、工場の閉鎖数が新規開業数よりも多い事を指摘した。

労働組合は、彼らの提示額はアメリカ国際労働連帯センター(ACILS)、インダストリオール・グローバルユニオン(IndustriALL)、FES財団と協力し、カンボジア国内の社会や経済状況に基づいて算出したものであると説明した。労働者行動組合共同体(CUMW)のPav Sina代表が先週Khmer Timesに伝えたところによると、労働組合は、労働者の消費動向や、多くの労働者に関する経済的な成功や失敗のその他の要因を調査している。

「我々が決定した提示額には論拠があり、他の労働組合からもこの金額に対する承認を受けているのです。」と彼は述べた。

カンボジア救国党のSam Rainsy代表は週末、月額180米ドルを要求する労働組合側を支持するとFacebookに投稿し、討論に飛び入った。

「現在の賃金である月額140米ドルは生活可能な金額ではなく、これは正当な要求です。カンボジア国内の生活費は著しく高いため、近隣国の労働者とカンボジアの労働者の賃金は比較するべきではないのです。」と彼は書いた。

カンボジア人労働者は「人間として生き残るため」に、月額180米ドルをフルに受け取るべきだったのだと続けた。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月15日06:03

カンボジア:逃亡する工場オーナーに支払いを(後)

(前編より)

 

今年だけでも何十もの工場が従業員に対して何の通達もなく閉鎖し、多くの労働者は、労働省から注意を向けてもらうためだけに抗議活動をせざるを得ない状況に陥っている。一般的に労働者側は事業者のカンボジアにおける資産の売却を要求しており、労働省は保護令状やその他の法的手段を通して処理を開始することが時にあるものの、事例はしばし複雑な裁判システムの中で躓いてしまい、すぐに忘れ去られてしまう。

プノンペンのChung Faiニット工場やGlobal Apparels Limited工場、コンポンスプー州のVictcoハンドバック工業工場は、閉鎖の可能性を従業員に対して通達していなかった工場の一部で、閉鎖から数日あるいは数週間と言ったごく短期間の通知か、もしくは全くの通知なしで閉鎖している。

プノンペン市Meanchey地区のChung Faiニット工場の200名の労働者を代表するPhann Sophorn氏は、彼女らの雇用主が最終月の賃金やボーナス、退職金を支払うことなく、2ヶ月以上も前に国外に逃亡したことを説明した。彼女はSamheng氏の声明を全く信用しておらず、このような状況に陥った後も、労働者たちが自分自身の力に頼らざるを得ないままとした事を厳しく非難した。

「労働省にコンタクトした際も私たちの訴えをたらい回しにて、もう彼らのことは全く信用できません。」

彼女の労働者グループは、6月27日に中国人オーナーとその側近が逃亡した際に、労働省にコンタクトを取った。工場に残された原料や機械を売却する様地元の関係当局に主張し、懇願したものの、2ヶ月経った後も政府からは何の反応もないままである。オーナーやその関係者が工場に戻り、工場内を空にしてしまう恐れから、彼らは何ヶ月にも渡って工場前での集会を続けている。今では、生活の為に親戚からお金を借りざるをえなかった労働者の多くが、補償を巡る戦いを諦め、新しい仕事を探さざるを得ない状況に置かれている。

「昨日ミーティングを開き、当局に事態の収拾を要請する工場での集会を取りやめることが決定しました。」と彼女はKhmer Timesに述べた。

「2ヶ月以上も集会を続け、何も結果が得られなかったのです。」

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月13日12:01

カンボジア:逃亡する工場オーナーに支払いを(前)

カンボジア労働省は、経営者が国外に逃亡したことで見殺しにされた工場労働者に対する金銭的救済となる様な規則の制定を予定している。

従業員への通達や最終賃金の支払いをしないまま工場を去る経営者の数は増え続け、度重なる工場の閉鎖が数ヶ月に及ぶ抗議運動に発展した。

労働省のIth Samheng大臣は事の重大さを理解しておらず、先週集まった人々には、工場閉鎖後もほとんどの経営者が国内に留まっている、と説明することによって暗黙のうちに事態の弁明を図った。

「工場の閉鎖時には常に、従業員の利益や賃金問題と言った、解決までに時間かかる問題の発生が伴います。しかしながら労働省は法的・行政措置によって、労働者の利益を守るための努力を続けていきます。」と彼は述べた。

Samheng氏はカンボジア国内における工場の閉鎖数は新規開業数より少ないと主張したが、カンボジア縫製協会(GMAC)の関係者が先月Khmer Timesに伝えた所によると、今年8ヶ月間で70の工場がすでに閉鎖している一方、新規オープンは20工場だけであった。

「工場の新規開業数は閉鎖数より多く、縫製産業は好調と言えます。労働省は本案件を調査し、あらゆる状況下の労働者の利益や賃金を保証する規定の制定に関して労使関係局と相談します。」と述べ、また、工場閉鎖の原因は貧弱な経営管理や財政難が原因の可能性があると説明した。

このように、労働省のコメントは多くの人々が憂慮するカンボジアの縫製産業の状況とは対照的である。

GMACのLy Tek Heng事業部長は先月、幾つもの要因が国内の工場数や生産量増加に制限をかけていると述べた。

「私は、政治状況が事業者と投資家の両方に影響を与えていると思います。国内の情勢が不安定な場合、投資を行うことは難しく、特にバイヤーからは懸念の声が上がっています。」 「政治問題、違法デモ、更にはベトナムやバングラデシュ、ミャンマーと言った他の衣料・履物輸出国との競争が、投資家によるカンボジアへの投資を遠ざけ、バイヤーのカンボジアに対する製品発注を押し留めています。」

一般への声明発表後も、Samheng氏は、経営者に見捨てられた労働者のためにどのような規制が制定されるかに関する詳しい説明は行わなかった。

多くの労働組合は、経営者が工場を買い入れ又は借り入れる前に、保証金の支払いを強制する事で、国外退去の際もある種の補償金として補填できるような仕組みを政府に陳情している。9月6日の会見で労働組合連合(NTUC)のFa Saly議長は、そのアイディア自体は歓迎したものの、時に労働組合や労働者の多くと敵対関係にあるSamheng氏には期待できない、とした。「労働省がもし、雇用者に逃げられた労働者を本当に助けられるとすれば、私はそれを喜ぶだけではなく、カンボジア人民党に投票だってします。」

雇用主の逃亡という厳しい状況下に置かれた労働者たちの、Samheng氏の声明に対する反応は冷たく、労働省は状況を軽視していると厳しい批判の声が上がっている。何十年にも渡って働いてきた場所がある日突然消えてしまい、生計を立てることができなくなってしまう痛みをSamheng氏は理解していない、と多くの労働者は言う。

 

(後編へつづく)

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月13日06:01

カンボジア:低価格はアパレル部門を窮地に追い込むとILOが警告

カンボジアのアパレル部門はなお拡大基調にあるものの、世界のブランドがメーカーに支払う報酬を大幅に引き上げるか生産性の劇的な改善がない限り、危うい立場となるだろう、と国際労働機関(ILO)は8月30日発表したレポートにおいて警告した。

短期的には報酬の引き上げも生産性の改善も見込めない状況下で、工場経営者は賃金の継続的な増加に苦慮するだろう、とILOは「カンボジアの衣料品・履物部門レポート」最新刊で指摘した。

「投資家は投下資本に対する確実なリターンを必要としており、もしそれが得られない場合はカンボジア衣料品部門に対する追加投資を見送る可能性がある。」とこのレポートは述べた。

「将来の賃金増加は労働生産性の増加、もしくは外部からの報酬、またはその両方により補われる必要がある。」

このILOによる警告は、労働組合と経営者が来年1月からカンボジア60万人以上の縫製労働者に対して適用する最低賃金に関する年次交渉ラウンドを準備する最中にもたらされた。

レポートは、現在140米ドルに設定されている月額最低賃金は、景気停滞の中においても近年急激に上昇し続けている一方で、主に米国や欧州のブランドなどの取引先から支払われる報酬は、競合するベトナムやバングラデシュなどの国からの供給が増加することにより伸び悩んでいるとした。

「衣料品の価格が据え置き、また時には低下していることのメリットは、ある程度消費者に還元されている。」が、米国と欧州の両方における衣料品の生産コストも、2006年から2015年の間にたったの5.4%しか増加していないと続けた。

「これは10年間にわたる増加率としては非常に小さな伸び率である。」とレポートは指摘し、グローバルブランドに報酬を上げることによって、縫製工場の財務負担を軽減するよう促した。

「生産性向上の余地はいくらか残されているが、生産性の伸びが短期的に劇的に加速するような見通しは立っていない。」とレポートは指摘する。

「従ってカンボジアのアパレル・履物部門の労働者が大幅な賃金上昇を期待するのであれば、販売価格の動向が非常に重要なものになるだろう。」としたが、米国や欧州の経済成長が停滞する中で当面の見通しは明るいものではない、と続けた。

カンボジア縫製業協会のKen Loo書記長は、今唯一取りうる手段は生産性の向上に取り組むことであるが、それも険悪な労働関係によって阻害されてきたと主張した。

「(生産性向上に)大きな障害となっているのは違法なストライキであり、いくつかの労働組合が明らかに工場内の空気を支配しています。それは時に協力的であったり敵対的であったりしますが。こうした労働組合は労働者と経営陣の関係に、プラス、マイナスのいずれの影響も及ぼし得るのです。」と彼は述べた。

生産性を向上することができない工場はそのまま閉鎖されることになる、とLoo書記長は述べた。

「営業を継続できている工場は、生産性の向上を実現している工場であることは明らかです。一方で労働生産性を改善できなかった工場は、既に閉鎖されているか、今後閉鎖されることになります。」と続けた

GMACはその加盟企業の70社が今年閉鎖して35社が新規開業登録したが、閉鎖企業の方が多いこの状況は投資家が苦戦していることの証である、としている。

一方でILOレポートは、アパレル部門は今年も力強い成長を遂げており、第一四半期の売上高は14.5%となる約18億米ドルであったと報告した。

カンボジア最大の独立系労働組合のAth Thorn代表は、低い労働生産性は劣悪な労働条件が主な原因であり、生産性の改善はその対応への投資を増やすかどうかによると述べた。

「これは、労働者に低い労働生産性の原因を押し付ける企業によって引き起こされている問題なのです。彼らは低賃金で長時間労働を強制しており、そのため労働者は会社のために懸命に仕事をやる気になれないのです。」

Thorn代表は、近年ストライキの数が急激に低下しているとの労働省のレポートを挙げ、ストライキが生産性向上における主な障害であったとのLoo書記長の主張を否定した。

「経営者は責任から逃れるためにストライキに言及します。なぜいまだにそれを取り上げるのでしょうか?」

Thorn代表は、労働者に対するより良いトレーニングと処遇、労働法の厳密な適用、近代的な設備の導入、経験豊富な従業員に対する長期契約が生産性を高めることになる、と述べた。

「我々は企業に対してこれらの問題を何度も提起してきました。しかし経営者はただ利益を気にするだけで、こうした問題提起を歯牙にもかけないのです。」

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月12日06:07

カンボジア:縫製工場閉鎖の真意が議論の的に(後)

(前編より)

 

GMACのLoo書記長は、今年の工場閉鎖の実績数について政府、労働組合や経営者の間で議論されているものの、閉鎖は財務的な操作によるものではなく、利益の減少がその原因である、と指摘した。

「労働組合や活動家と言われる人々は、会社が労働者への退職金の支払いを避けるために工場を閉鎖し、再オープンしていると主張していますが、GMAC加盟企業による統計が示しているような、2016年に70近くの工場が閉鎖する一方で、35社が新規オープンしているという数値とはつじつまがあいません。」と彼は述べた。

Loo書記長は、「調査していない」ため、指摘されているような事象が本当に発生していないかどうかを断言することはできないが、今年GMACに登録した工場のほとんどは、新規の投資家によって出資されているようだ、と述べた。

「私はもちろんすべてがそうだとは言っていません。一握りの企業では指摘されているようなことを行っているかもしれませんが、実態は分かりません。ですが私の知る限りでは、我々が今年登録を受けたメンバーのほとんどが新規の投資家であると見られます。」と彼は述べた。

「組合が主張しているようなことは、GMACの数字を鑑みるとあり得ません。それはせいぜい一握りの事象だろうと思います。」

最終的には政府が窮地に立たされている労働者がいないことを確認する責任を負う、とFree Trade UnionのMann Seng Hak副会長は述べた。

「それは政府の責任です。政府は投資を呼び込むものの、工場が閉鎖され、経営者が逃げ出したような場合、労働者に対する補償については一切考えていないためです。」とSeng Hak副会長は述べた。

工場経営者は閉鎖などの事態に備え、約100万米ドルの供託金を拠出することが求められているが、この資金は労働者らに対する未払賃金にほとんど利用されていない、とCentralのTola代表は述べた。

労働省のHeng Sour広報官は工場経営者に対する法的な規制の必要性は、会社の登記を監督する商業省管轄としてコメントを差し控えた。

商業省のSoeng Sophary広報官は、供託金の使用については何が起きているのか検知していないとし、財務省税務課管轄との認識を示した。財務省のMeas Soksesan広報官はSophary広報官のこの認識に対し、今度は外国投資を監督するカンボジア開発評議会の管轄との見解を示し、結局そこでは監督省庁を特定できなかった。

約3000米ドルの債権を会社に対し保有しているChung Fai工場の元従業員であるHalymasさんは、労働者らにとって唯一の債権回収の道は、工場敷地に残された資産を守ることである、と述べた。

「私たちは悪い人々が密かに持ち去らないよう、工場にあるミシンや製織機のようなすべての資産を守る必要があります。それらが失われるということは、私たちの債権が失われるということだからです。」

だが労働者らはあえて設備を持ち去るようなことはしない、と彼女は言った。

「もし私たちが設備を持ち去り、売却したりすれば、法律違反の罪に問われることになってしまうのです。」

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月08日12:04

カンボジア:縫製工場閉鎖の真意が議論の的に(前)

Chung Faiニット工場の板で囲まれた玄関の外に立つ守衛をめがけ、十数人の女性がその日のために出かける準備をしていた。

プノンペンのMeanchey地区にある香港資本のセーターや靴下を生産するこの工場では6月に操業を停止し、200人以上の労働者が職を失った。期日になっても報酬が支払われる兆しがないため、Chung Fai工場の元労働者数人が、補償を受けるために残されたわずかな希望である内部の価値のある設備を守るために、工場の敷地にて夜を徹したキャンプを開始した。

「我々は、(労働)省か裁判所ができるだけ早くこの問題を解決してくれることを願っています。」と約15年間 Chung Fai工場で働いたMath Halymasさんは言った。

請願と抗議を2ヶ月間繰り返した後、現在女性らはフェンスで囲まれた敷地内から外の歩道へベースキャンプの位置を移し、毎日午前7時から午後5時まで監視を続けている。8月19日に敷地を検査するために、フン・セン首相に助けを求めるメッセージボードが置かれた工場ゲートが裁判所、警察や政府関係者によって封鎖されたため、彼女らは活動方針の変更を行った。

内部の資産を調査、リスト化した後、役人らは工場の倉庫を封鎖し、正門にプノンペン市裁判所から7月26日に出された差止命令のコピーを掲示した。この差止命令は、さらなる通知があるまで設備を動かしたり売却したりしないよう、会社に対して命ずるものである。

今年これまでに約70の縫製工場が閉鎖に追い込まれた、とカンボジア縫製業協会(GMAC)のKen Loo書記長は明らかにしており、その数は既に昨年に閉鎖となった35社の約2倍の数となっている。彼は毎年着実に上昇し続けている最低賃金により、投資家らの利益率は極端に悪化していると指摘した。

「賃金はローカルコストの65〜70%を占めています。原材料などのコストを無視した場合、賃金だけに着目すればそれがほぼ全てであり、この賃金の上昇が(工場閉鎖の)主な要因なのです。」と彼は述べた。「その他どんな要因を挙げることができるでしょうか?」

労働組合リーダーや労働活動家によると、工場経営者には工場を閉鎖したり夜逃げしたりする強い動機があるという。それは工場を長く稼動させればさせるほど重くなる金融負担から逃れることである。

「いくつかの工場では労働者に対する年功序列賃金を支払うのをストップするために工場閉鎖を行い、同じ場所で名前だけ新しくして再度稼動を開始しています。」と労働者行動組合共同体(CUMW)のPav Sina代表は述べた。

労働者の権利団体であるCentral のMoeun Tola代表は、企業はしばしば運営を切り替えることにより、効果的にスタッフの解雇費用を押さえ、より低賃金の労働者を新規で雇用してきたと述べた。

「長年にわたり営業を続けた場合、会社は法律により労働者を新システムのもとで再雇用することが義務付けられます。その新システムにおいては、無期限の雇用契約締結に加え、退職費用、より高額の給与、その他福利厚生費用を会社は支払う必要があるのです。」とTola代表は述べた。「そしてそのことこそが、会社を閉鎖し、再度開業、新規雇用をして、新しい従業員を求める理由なのです。会社は費用の負担責任を回避したり、削減したりしようとしているのです。」

「これはカンボジアの不当な法執行制度の問題でもあります。」とし、Tola代表は、当局がこのような法逃れの動きをほとんど調査したり、差し止めたりしてこなかったことを指摘した。「私は腐敗がその主な原因だと考えています。」

他の労働指導者や専門家、そしてGMAC同様、Sina代表、Tola代表とも、こうした工場経営者や投資家を追跡するための手段を持っていないと述べた。

企業が新しい法人格で稼動し直すような場合、それを追跡し、責任を追求することは事実上不可能である、と米国を拠点とするSolidarity CenterのWilliam Conklinカントリー・ディレクターは言う。

「経営者は実際のところ製造業者とでも呼ばれるべき存在で、彼らは土地を所有しておらず、土地を借りているだけです。彼らは資本投下後すぐの2〜3年以内に、初期投資を上回る利益を回収してしまいます。」と彼は指摘した

「それは悪循環とも言えるもので、彼らは4~5年で投資した分の利益を回収し、工場を閉鎖してしまいます。利益を獲得し、すぐに逃げるという流れです。」

また操業開始後最初の数年間について政府が提供する課税免除の制度が、投資家が定期的に会社を閉鎖し、再度新たに開業することへのインセンティブとなっている、とConklin氏は述べた。

「税制上の優遇措置は1年か2年受けられます。また経営者らは(一旦工場を閉鎖して)新規オープンすれば、再度その優遇を受けられるのです。」

再度開業しようとしているかにかかわらず、閉鎖された工場の多くでは適切な退職金を払っておらず、労働者らは裁判所に訴えるか、自分で対処しなければならないような事態となっている、とConklin氏は指摘した。

「200、500または1000人の労働者を抱えているような会社が突然閉じた場合、法的には会社は労働者に退職金を支払う義務がありますが、それが多額なものとなります。このことこそが経営者がこっそり夜逃げする理由なのです。」と彼は述べた

「時には経営者が資産を回収しようともしない場合もあり、その場合誰が残された資産を取得するのかについて争いが起きます。法的には労働者が優先権を持っています。そのことは法律により規定されているのです。」と続けた。

 

(後編につづく)

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月08日06:02

カンボジア:「労働搾取工場」時代の終焉

過去30年間、労働搾取工場を意味する”sweatshop”は、「低賃金のアジア人労働者が、劣悪な環境で海外の消費者のためにブランド服を作る」というイメージを植え付けてきた。

そのイメージは人権擁護運動を引き起こし、大手企業の製造過程を改め、先進国における貿易政策に影響を与えてきたが、それも今では過去のものとなりつつある。少なくともアジアでは、工業化の代名詞であった「労働搾取工場」が、テクノロジーにとって変わりつつあるのである。

国際労働機関(ILO)の報告によると、カンボジアの88%、ベトナムの86%、インドネシアの64%と、東南アジアに920万ある縫製・製靴関連職の3分の2以上が自動化に直面しているという。それが労働者にとって良いことであるかは議論の余地があるが、アジアの「労働搾取工場」の全盛期が終わりつつあることは確かである。

中でも、その動きはカンボジアにおいて最も顕著である。低い賃金や緩い規制、都市部で仕事を求める大規模な地方人口などに目をつけ、1990年台半ば以降、大手メーカーはこぞって生産拠点をカンボジアに移転してきた。2015年までに縫製・製靴の輸出額は63億米ドルとなり、カンボジアの輸出総額の80%を占めるまでになった。縫製や製靴関連の仕事はただでさえ単調で窮屈なものであり、時によっては劣悪で生死にすら関わる場合もあるが、カンボジアの縫製・製靴に従事する労働者63万人の月間所得額は145米ドル〜175米ドルと、一人当たりの年間所得額が1000米ドルにおける同国においては所得水準が高く、この傾向は縫製の一大中心地である中国やベトナムなど、アジア全域に広がった。

低賃金諸国で激化する競争が世界中の衣料価格を引き下げ、カンボジアにおけるアメリカ向け輸出衣料の平均生産コストは2006年から2015年の間に24%減少した。賃金の上昇を伴えば、生産者側にとっては存続の危機となる。

いくつかの中国メーカーは低い賃金を求めて東南アジアに拠点を移したが成功せず、アジアにアウトソーシングするナイキやH&Mといった企業と価格交渉をするか、生産性を高めるかの2択を迫られた。価格交渉の成果は弱く、アジアの衣料メーカーは生産性を飛躍的に高める自動化を推し進めることを余儀なくされたのである。

彼らが導入した新しい技術のうち最も一般的なのは、どこの工場でも必要とされる生地裁断の単調作業を自動化する装置であろう。技術導入のコストを回収するのにかかる時間は18か月間と推定されており、低賃金労働者による手動裁断過程の縮小は確実とされる。アディダス・インドネシアは裁断過程の手労働を30%まで縮小することを望んでおり、また、カンボジアのHung Wah縫製工場は手動裁断過程を一切排除した。

また今後、3Dプリント技術やその他の新興技術の発展により、メーカーが顧客の仕様書に、これまでにはない品質で、「労働搾取工場」では想像できなかったスピードで、はるかに少ない人力で答えることが可能になると見込まれており、欧米企業がカスタマイズ可能な技術を自国に持ち帰り、海外の生産拠点を一切閉鎖してしまう可能性もある。

中国を中心として工場労働者自身が消費者になりつつあり、数年のうちに靴や衣料によりお金をかけるようになると予測されているものの、自動化によって職を失う労働者を吸収するための明確な対策がない事は確かである。「労働搾取工場」の衰退を嘆く必要はないが、アジアが打開策を見いだせていないのは事実である。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月07日12:01

カンボジア:労組、2017年の縫製産業最低賃金の目標を180ドルと発表

年次賃金交渉を目前に、独立系、および政府系の縫製労働者組合からなる共同グループは労働省に対し、カンボジアにおける主要輸出産業の新しい最低賃金水準として約180米ドルをターゲットとすることを通達した。

この新しい数値目標は金曜日に同省に届けられた書面により提示されたが、現在の140米ドルから30%近くの増額となり、昨年の交渉妥結の後、フン・セン首相によって命じられた追加の5米ドルを含んでいる。

この書面は、2017年の最低賃金を決定するために土曜日に開始される、カンボジア縫製業協会(GMAC)を含む労働組合、政府と経営者代表による一連の協議の基礎となるものである。この三者会議は1月に終結する予定である。

「すべての労働組合が、今回の賃金交渉を開始するにあたり労働省に通達した最終目標値の179.60米ドルに同意しています。この目標値は衣料品・履物産業における最低賃金水準として提示されることになります。」とカンボジア労働者連合協議会(NACC)のSom Aun会長は認めた。

この書面はNACC、カンボジア労働組合連盟(CCU)、カンボジアアパレル労働者民主組合連合を含む17の労働組合により署名された。

組合の代表らは、何人かの独立系研究者や政府発行の経済指標から得たデータを利用して、労働者やその家族の生活費を慎重に分析した上でこの最終目標値を設定したと述べた。

「我々は労働者がその家族を養うのに必要な生活費を綿密に調査した上でこの数値を設定しましたので、交渉に臨むすべての団体がこの目標値を受け入れることを希望します。」と国立労働組合連合のFar Saly会長は述べた。 「この目標値(達成)により、社会における良好な生活環境を確保することができるようになります。」

昨年の賃金交渉においても、縫製労働者らは今年と近似した目標値である月間177米ドルを交渉のスタート値として設定していた。しかし9月頃にはこの合意は崩れ、大多数が158米ドルを支持する中、たった一つの独立系労働組合が178米ドルを支持するのみとなってしまった。

そして最終的に労働組合らは、大幅減となる140米ドルの最低賃金での妥結を余儀なくされた。

しかしカンボジアのアパレル産業がその競争力を維持するためには、生産性の向上か、現在の低賃金の据え置きのいずれかに取り組む必要があるという国際労働機関(ILO)のレポートをきっかけに、180米ドルという新しい目標値が設定された。

「月額140米ドルという2016年の最低賃金水準は、貧困ラインすれすれよりわずかに高い水準である。」とILOは断じた。

GMACは長い間、高い賃金が工場の閉鎖をもたらしたとして非難しており、最近では上昇し続ける賃金によって2016年に約70もの工場が閉鎖に追い込まれたとしたが、この数字は政府関係者や労働組合リーダーに疑問視されている。

何人かの労働専門家らは、なおも労働者は業界の欠陥のために不当に非難されていると主張している。「賃金は全体的な生産コストのほんの一部ですが、なぜか労働組合や労働者らが業界の競争力を低下させている主因とされています。」と労働者支援を行うNGO団体であるSolidarity CenterのWilliam Conklinカントリー・ディレクターは述べた。「カンボジアはエネルギーコストや輸送費が高いため、それらが解消されない限り、産業の競争力は弱いままでしょう。」

経営者らは往々にして、製造業の開発を促進し、その競争力を高めるような新しい設備への投資や従業員トレーニングを怠っている、とConklin氏は続けた。

一方で、産業は賃上げの決定方法を変更する必要があると主張する者もいる。今月発行された学術専門誌であるInternational Journal of Economicsのレポートによると、毎年最低賃金の再設定をするのではなく、労働組合と経営者はより効果的な年次交渉に取り組むべきだとした。このレポートでは、カンボジアの労働組合とアパレル部門の経営者は、お互いに仕事のやり方を変えていく必要があると指摘している。

「カンボジアの労働組合と経営者は、団体交渉を含む対話のためのナレッジやツール、紛争予防策を備えていない。」とカンボジアテクノロジー大学の研究者によって書かれたレポートは指摘した。

このレポートではまた、交渉を効果的に進めることができない理由の一つとして、労働組合の数が多すぎることを指摘している。

「カンボジアのアパレル業界において労働組合形成が約60%と推定されているが、このように非常に多くの労働組合を形成することの有効性には疑問がある。多くの弱小組合や資金力の弱い組合を残すことは、互いに牽制し合い、汚職や政治的干渉を受けやすくさせる。」とレポートは述べている。

それでも当局は、今回の交渉が合意につながるだろうと楽観的な見通しを示す。

「労働省では、2017年の縫製労働者の最低賃金を増加させるであろうこの交渉プロセスが良い結果となり、すべての当事者が最低賃金を受け入れ、労働者と工場の安定経営に資するものになることを期待しています。」と労働省のIth Sam Heng氏は述べた。

GMACは、この件に関してコメントを出さなかった。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月06日11:59

カンボジア:絹市場の苦悩

カンボジアでの絹製品の売り上げは順調であるにもかかわらず、技能労働者の不足に加えて安い輸入品の流入により、すでに窮地に立っているカンボジアの国内生産にさらなる圧力をかけていると、官庁職員や業界関係者は話す。

カンボジアでの伝統的な絹生産を奨励しようとする近年の政府の努力は多少成功したものの、ベトナム製あるいは中国製の絹および絹綿混合の廉価製品が入ってくるため、数世紀続いたカンボジアの手織り産業がさらに発展していくのは容易ではない、と商業省書記官で絹委員会会長のMao Thora氏は述べた。

「国内のいくつかの地域、特にバンテイメンチェイ州のPhnom Srok地区で現在、絹生産者の大半が近隣諸国で働くために移住したことで労働者が不足しているため、絹産業は衰退しています。絹生産の市場は大きな課題ではありませんが、我々が今やっていることは絹生産者を増強することです」とThora氏は話した。

委員会は絹についてのクメール語の資料を作成して、蚕の最適な育て方や蚕が育つのに最も健康的で有効な環境、そして絹生産が国内市場および輸出市場に見合う品質保証の方法を国内の絹生産者に教育することで絹織物産業を後押ししようと励んでいると彼は述べた。

カンボジア職人協会の事務局長Men Sinoeun氏は、Thora氏の産業への懸念を繰り返した。短期的な懸念を解消するため、絹の輸入は近年増加してきたと彼は述べた。カンボジアは年におよそ2トンの絹しか生産できないのだが、現在のカンボジアの需要は300トン近い。

「もしも生産チェーンに供給する国産の絹がないのなら、協会は打撃を受けます。そのため、我々の生産作業を行うために、外国から輸入することにしました」とSinoeun氏は述べた。

国内生産が不足しているのは、アパレル工場が地方に拡大し、女性の雇用機会が提供されていることにも拠ると女性問題省の次官Nhem Morokak氏は説明した。

「絹生産ではごくわずかな賃金しか稼げないので、それゆえ大多数の人はこの仕事を諦めています」とMorokak氏はクメールタイムズに話した。彼女は、かつて多くの絹を生産していたタケオ州では近年、高い賃金を支払うアパレル生産工場が建設されたことで絹産業が著しく衰退しているという例を挙げた。

「我々はタケオ州の絹職工のために、できれば彼らが産業を維持するために市場を作り出そうと一生懸命頑張っています」と彼女は述べた。

衣類やアクセサリーに絹を使用しているWatthan Artisans Cambodiaの経営者であるTaing Phireak氏は、国内企業はむしろカンボジアの絹を使用したいのだが、競争力を維持するには価格が高すぎるとクメールタイムズに話した。これが国内企業にタイやベトナムの絹を使わせることになったのだ、と彼は述べた。

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月03日11:47

カンボジア:上場アパレル企業Grand Twins第2四半期は増収減益

カンボジア証券取引所(CSX)上場企業であるGrand Twins International(GTI)の2016年第2四半期は前年同期比74%増の大幅な増収だったが、税抜後利益は前年同期を45%下回る結果となった。

8月29日に証券取引所に提出された決算報告書によると、カンボジアで縫製工場を経営する台湾資本GTIの第2四半期売上高は2500万米ドルを越え、前年同期を74%上回った。一方で、第2四半期の税抜後利益は200万米ドルを少々上回る程度で、前年同期から45%のマイナスとなった。

決算報告書ではこの減益は事業拡大のための支出によるものと説明している。

「GTIは顧客の要望に応えるべく生産チェーンを拡大したため、これが第2四半期決算に反映しました」とYang Shao Six取締役会長は説明する。

6月にGTIは2015年度の配当性向は純利益の50%とすると発表した。配当金は今月末に支払われる予定。また、GITは2015年度の一株あたり利益は54リエル(0.013米ドル)で、2014年度の177リエル(0.043米ドル)から減少したことも発表している。

 

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月02日12:03

カンボジア:縫製工場稼働状況データの修正

カンボジア商業省は第1四半期において、120軒以上の稼動していないアパレル・製靴工場を閉鎖または一時稼動停止中と再分類したと国際労働機関(ILO)は8月30日伝え、賃金上昇や低い生産性、安定しない労働力によって縫製工場がカンボジアから撤退する兆候があるかどうかという議論に一石を投じた。

「商業省は、今年第1四半期に多くの工場が数ヶ月に渡り不稼動あるいは閉鎖しながら同省に届け出を出さなかったために、正式なデータベースに反映されていなかったと発表した。同省は122社のアパレルおよび履物縫製工場を閉鎖もしくは一時休業と再分類している」と国際労働機関(ILO)は最新の「カンボジア衣料品・履物分野公報」で発表した。

同誌によると、同省のデータでは第1四半期で新しく12軒の工場が操業開始をしたが、縫製工場は差し引き110軒減少し、2016年3月現在で589軒となった。ILOの発表の有効性に関して商業省からのコメントは得られなかった。

公報に引用されている数字は工場の不稼働の原因や期間については言及していないが、最近の工場閉鎖の増加を裏付けるものとなるだろう。

カンボジア縫製業協会(GMAC)のメンバーデータによれば、今年これまでで合計70軒の工場が閉鎖し、新規開業は20軒のみである。GMACは急増する工場閉鎖の原因について、政情不安、労働不安、競争力の欠如、低い生産性、労働者の賃金上昇によるコスト増加などをあげている。

こうした傾向は、国際的な衣料品・靴メーカーが製造ラインをより投資効果の高い場所へ移しつつあることを意味するとGMAC会長Ken Loo氏は言う。

「カンボジアには競争力がないので、そのうち各社引き上げるでしょうと長年言い続けています」と彼は工場閉鎖について述べた。「新規投資家が減少しているだけでなく、既存の投資家たちが撤退しようとしているのです。この傾向は今年いっぱい続くでしょう」

一方でILOの公報は、カンボジアの60億米ドルのアパレル・履物分野の120社の工場閉鎖は産業の健康状態を示すものではないと違った見方をしている。

「この減少は、実際の工場閉鎖率の増加というよりも、記録の修正によって起こった統計学的なものと見るべき」で、「輸出量と雇用者数で考えると、継続的に成長する見込みはある」と公報は述べている。

また、カンボジア開発評議会から第1四半期に承認を得た37の投資案件のうち22がアパレル・製靴分野で投資総額は8600万米ドルに上ると記されている。これは第一四半期の海外直接投資(FDI)全体に占める比率としては若干減少しているが、縫製産業自体では2015年同期比で20%の伸びを記録している

ILOはこれらのデータについて、アパレル・製靴分野への投資も急激に成長しているが、それ以上に他分野への投資が進んでいるためと説明している。

「カンボジアへの直接投資流入が多様化しつつある中で、アパレル・製靴分野への投資は堅調に成長しているが、他分野への投資はそれを超えるペースで成長している」と公報は述べている。

縫製産業における雇用は第1四半期も全体で伸び続け、対昨年同期比5.3%増の63万人に及ぶという。

 

» 続きを読む

カンボジア ジャンル:
最終更新:2016年09月01日18:42

このページのトップへ戻る