インドシナニュース

2015年05月 のニュース一覧

カンボジア:第1四半期の縫製工場ストライキ件数が前年比74%増加

2015年の第1四半期に、カンボジアの縫製工場でのストライキ件数は大幅な増加を示し、前年同時期と比較すると約74%の増加であった。

カンボジア縫製業協会(GMAC)の第1四半期報告によると、1月から3月までの間にカンボジアの縫製工場で40件のストライキが発生している。2014年同時期のストライキ件数は23件であった。

縫製業協会のKen Loo書記長はプノンペンポスト紙に対し、「昨年は暴力的なストライキが終了したばかりで、皆が警戒態勢にあった」と話す。

2014年1月、全国的な縫製産業ストライキを支持する抗議行動が過激化し、軍隊が発砲したことで少なくとも5人の抗議参加者が死亡した。そのためカンボジア政府はデモ活動の禁止令を発し、ストライキを組織しにくい状況となった。

しかし、縫製工場のストライキは再び活発化した。カンボジアアパレル労働者民主組合連合のKong Athit副会長によると、これは雇用者と労働者間のコミュニケーションの問題によるものが殆どであるという。

「産業労使問題に関わるすべての人々に共通する問題だと思いますが、雇用者、労働組合、政府の三者間にはいまだに非常に限られた関係しかないのです」とAthit副会長はプノンペンポスト紙に話す。

プノンペンポスト紙の報道によると、縫製業協会の調査でも、発生したストライキのうち70%は工場に登録されていない労働組合が関与したものであり、8%は労働組合に属さない従業員によるストライキ、そしてすべてのストライキが不法に実施されたものであったことが判明している。

労働人権団体Solidarity CentreのDave Welshカンボジア事務所長は、政府が合法と判断するストライキを開催することはほぼ不可能だと話す。雇用者側は組合や従業員との交渉を拒否し、政府職員は従業員らの不満への対応が遅く、そのために合法的なストライキの開催が不可能となっているという。

縫製業協会の報告書では、いくつかのストライキは、Loo書記長がプノンペンポストに「腕試しとして」と述べたように、組合の評判をあげるために行われたのではないかと推測している。

しかし異論を述べる人々もいる。すべてのストライキには目的があり、そしてその大多数は賃金と労働環境に関するものだと彼らは話す。

 

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最終更新:2015年05月29日06:01

カンボジア:縫製産業、大規模な交通事故で通勤手当の問題が浮き彫りに

カンボジア縫製産業で19日、交通事故が発生し史上最大ともいえる犠牲者を出した。これを受け、同産業の主要経営者団体の代表はこのほど、事故は給与を通勤費用に充てずに危険な乗り方でトラックに乗っていた労働者らの責任だとした。

Svay Rieng州で19日、定員オーバーのトラックがツアーバスと衝突し、労働者18人と運転手1人の命を奪った。この事故を受けて、カンボジア縫製製造業者協会(GMAC)のKen Loo会長は21日、工場主に責任はないとの発表を行った。

Loo会長は「労働者にはすでに通勤手当を支給しています。それを使わないのであれば、われわれにはどうしようもありません。今回の問題は通勤手当の引き上げの問題ではありません。労働者が通勤手当を使うかどうかという問題です。実際には使われていないのですから」と言った。

一方で同州の縫製労働者、Chan Sarun(34)さんは22日、自身の通勤状況について、毎朝50人の労働者とともにトラックに乗り込むのだと話した。というのも、13米ドルという通勤手当ではこの通勤手段しかないからだ。Sarunさんは「工場は通勤手当を引き上げるべきです。こうしたトラックでの通勤は安全とは言えませんから。通勤手当の額が上がれば、安全なトラックを利用します。でも今は十分なお金がなく、食費が必要です」と話した。

Kompong Speu州の縫製労働者、Nan Sothea(27)さんは、1カ月11米ドルの通勤手当のうち10米ドルを通勤費用に充てているのだという。もし工場が通勤手当を引き上げるのであれば、通勤費用を差し引いた残りの金額は貯金したいと考えている。Sotheaさんは「従業員の安全のためにも、工場には通勤手当を増やしてもらいたいと思っています。余ったお金はわずかですが貯金に回すことができます」と話した。

Svay Rieng州付近の労働者を輸送する、トラック運転手のNai Dara(30)さんは、運賃について、1人当たり1カ月11~12米ドルを徴収していると話した。そして「私のトラックには通常、約40人の労働者が立って乗っています。しかしときには大勢が皆、急いで帰宅しなければならないこともあり、そのような場合には100人以上もの労働者が1台のトラックに乗り合わせます」と説明した。

GMACのLoo会長は22日、通勤手当が多いほど労働者の安全は保証されるという考えを却下した。同会長は「全く受け入れられない考え方です。今回の問題は、収入が少ないから危険な通勤手段しか取れないということではなく、通勤手当をどう使うかという『選択』の問題です。労働者たちは支給された通勤手当を別のことに使っています」といい、「彼らのほとんどがスマートフォンを持っています。そう考えると、通勤手当が何に使われているのかも納得がいきます。要は、彼らは7米ドル、10米ドル、12米ドルといった通勤手当を支給されているにもかかわらず、全額を通勤費用に充てているわけではないということです」と説明した。

地域法務教育センターで労働プログラムを指導するMoeun Tola氏もまた、「労働者の多くが通勤手当を節約している」というLoo会長の意見に同意した。だが一方で、賃金が低過ぎることがその原因だと指摘している。カンボジア縫製産業の1カ月の最低賃金は128米ドルだ。

Tola氏は「Loo会長の意見は正しいかもしれません。というのも、基本給としての最低賃金は依然として低く、人々はできる限り節約しようとしているからです」と述べた。にもかかわらず、金銭的に可能であれば、労働者らは安全な通勤手段へと切り替えるべきだとも主張している。Tola氏は「現行の最低賃金で労働者自身とその扶養家族を養えるようになれば、労働者たちも安全な通勤手段を選ぶようになるでしょう」と話した。

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最終更新:2015年05月27日06:01

カンボジア:第1四半期の米国向け輸出が6%の減少

カンボジアが米国、EU以外へと輸出相手国の多様化にむけた努力を続ける中、カンボジアの最大の輸出相手国のひとつである米国向け輸出が第1四半期に6%の減少となった。

米国商務省のデータによると、2015年初めから3か月間のカンボジアから米国への輸出は昨年同時期の7億7100万米ドルに対し、7億2500万米ドルであった。この統計は米国に輸出された詳細品目までは特定していないが、過去の輸出報告によると輸出品目のほとんどは縫製製品とみられる。

カンボジア縫製業協会のKaing Monika副会長は、米国向け輸出の低迷は米国市場の問題によるものではないと話した。

Monika副会長によると、米国への輸出が低迷する一方でEUへの輸出は成長し続けており、現在カンボジアからの縫製製品の40%以上がEUに輸出されているという。一方で、米国向けは5年前には輸出の75%を占めていたものの、現在では30%以下に過ぎないという。

「ヨーロッパへの輸出は伸び続けており、輸出割合では米国向けを上回るようになりました。現在縫製業界は急成長を遂げているというよりは安定した生産の状態にあります。このような状況が継続するならば、さらなる輸出の増加が望めます」とMonika副会長は話す。

統計的には今年初めにわずかな落ち込みを見せたものの、4月に発表された国際通貨基金(IMF)のアジアの経済見通しでは、カンボジアは米国経済の復調とそれに伴う米国向け輸出の増加により、今年堅調な成長を見せるであろうとの予測がなされている。

国際通貨基金アジア太平洋地域局のMarkus Rodlauer副局長は「米国経済の回復は、カンボジアからさらに多くの物品を輸出することにつながり経済成長の支えともなるため、好ましい展開です」と話す。

最高国家経済評議会のMey Kalyan上級顧問は、カンボジアの米国市場への依存度を引き下げ、他地域への輸出を増やすことで米国経済の不調によりカンボジアが被りうるリスクを低減させることができると話す。

EUへの多様化が唯一の方策ではなく、輸出企業は特にアジア諸国に拡大していくチャンスに注目すべきだとKaylan上級顧問は付け加えている。

「縫製製品からの多様化を進めるとともに、既存の輸出市場以外、たとえば日本やタイなどへの輸出拡大も進めたいと考えています」とKaylan上級顧問は話す。

 

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最終更新:2015年05月21日14:33

カンボジア:第1四半期、縫製製品輸出が11%の伸び

5月6日に発表された商業省の報告書によると、カンボジア最大の外貨収入源である縫製産業による2015年第1四半期の輸出額は前年比11%の増額であった。

統計によると、2015年1月から3月までのアパレル製品輸出額は17億3000万米ドルであり、昨年同時期の15億6000万米ドルから11%の伸びとなった。

カンボジアからの総輸出額の約80%を占める縫製製品は主に欧州連合諸国、米国、そして中国、韓国、日本といったアジア諸国に輸出されている。

今年の第1四半期の輸出額は欧州連合向けが16%増の6億8000万米ドル、米国向けが1%増の5億3700万米ドル、そしてその他市場向けが21%増で5億2100万米ドルであった。

カンボジア縫製業協会(GMAC)のKaing Monika副会長は、賃金をめぐるストライキが解決し生産量が増加しているため、今年は第2四半期以降もさらなる成長が見込めるであろうと予測している。

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最終更新:2015年05月19日14:30

カンボジア:国境付近にタイと経済特別区を共同開発

タイが、カンボジアとの国境貿易の強化に乗り出している。カンボジアとの国境沿いに2つの経済特別区(SEZ)を開発することで、農業生産や工業生産を促進しようとしているのだ。またこれに伴い、カンボジアの安価な労働力を利用しようとしている。

タイのバンコクポスト紙によると、これらの経済特別区の開発は、国境を接するSa Kaeo県(タイ)とBantey Meanchey州(カンボジア)、およびTrat県(タイ)とKoh Kong州(カンボジア)で行われるという。また2018年までにはSa Kaeo県のBan Nong Ianに新たな検問所を設置する。現在、タイ・カンボジア間の国境付近で稼働している経済特別区には、カンボジア側のPoitpet(2カ所)とKoh Kong区(1カ所)のものが挙げられる。

Bantey Meanchey州のKor Sumsaroeut州知事は14日、経済特別区の開発に向けては、カンボジアおよびタイの高官らが協議中であることを明らかにし、またこの開発を共同経済特別区とする一方、開発そのものは各国で行う計画だと補足した。

Sumsaroeut州知事は「タイはカンボジアの国境に近いSa Kaeo県に自国の経済特別区を開発します。そこではカンボジア人を雇用する計画だということです。これらの労働者らはパスポートではなくICカードを使用して、タイ側の経済特別区で働くと伝えられています」と述べた。

また「カンボジア人を雇用するメリットは、その安価な労働力です。一方で国境付近はインフラが整っていませんので、それが今後、付近の経済特別区との競争に影響を及ぼすのではないかと考えられます」とし、「共同経済特別区にとって熾烈な競争になるのは間違いありません。われわれがやるべきことは、インフラを改善し、入居する企業を支援することです。また電力の供給についても改善しなければなりません。というのも現在、電力はタイから購入しているからです」と続けた。

Poipet O’neang経済特別区のLy Kim Hongマネジャーは、タイに新たな経済特別区が開発されれば、経済特別区間の競争は激しくなるだろうと話す。だが新たな経済特別区の開発がPoipet O’neang経済特別区にとって脅威となったことはないと説明した。

そして「カンボジアにはインフラが整っていないという弱点はありますが、一方で労働コストが低いというメリットがありますし、またタイとの貿易では貿易特恵制度が与えられています。この制度を利用しているのは主に縫製産業です」と述べた。

Hongマネジャーはまた、「競争は激化しても、タイやカンボジアに投資する投資家にとっては、まだまだ投資先には困らない状態です。しかしカンボジアは引き続き、インフラの改善に努めなければなりません」と話し、さらに「インフラ面では、タイと対等に戦うことはできませんが、十分かつ使用可能なものは持ち合わせています。投資企業が製品を国外に輸送する分には特に問題はないでしょう。インフラの改善は必要ですが、それが懸念事項というわけではありません」と述べた。

だが政策研究センターのChan Sophal所長は、共同経済特別区については、雇用が創出されたり賃金が上がったりするなど短期的には有益かもしれないが、一方で工業や軽工業の分野に弾みを付けたいとするカンボジアの方針に対しては、何らかの影響を及ぼす可能性があると指摘した。

そして「共同経済特別区によって、国内の雇用率は上がるでしょう。しかし安価な労働力を基に産業の発展を目指しているカンボジアには、大きな課題も突き付けられると考えられます」と述べた。

Sophal所長によれば、同経済特別区に入居する産業の規模にもよるが、カンボジア企業は今後、経済特別区内の企業が支払う給与と同等の額を支払わなければならなくなる可能性があるという。こうした給与は比較的高い。

また同所長は「カンボジアの労働者を大量に採用するとしている同経済特別区への投資が、過剰にならないことを願うばかりです。このタイの方針が、今後カンボジアにどのような影響を及ぼすのか、真剣に調査しなくてはなりません」と続けた。

2013年6月、カンボジアとタイは、国境沿いに経済特別区を2カ所開発することで、二国間貿易と投資を促進することに合意した。同時にKoh Kong州に1800メガワットの石炭火力発電所を建設することでも合意したが、こちらはまだ建設には至っていない。

 

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最終更新:2015年05月18日06:00

カンボジア:東南アジアが次の「世界の工場」へ

ANZ銀行が4月24日に発表した報告書によると、カンボジアの「安く、若い労働力」は今後10年間で東南アジアが中国を抜いて世界最大の生産基地となることを後押しするであろうという。

「アセアン:新たな展望」と題された報告書では、東南アジアは地理的な利点と他のアジア諸国に比較すると安価な労働力により、製造業者を惹きつけることになるという。

「安価で豊富な労働力を求める企業がメコン河流域地域等に移転するにつれ、東南アジアは中国の『世界の工場』の地位を今後10-15年のうちに奪うことになるだろう」と報告書は論じている。また、2030年までに、東南アジア地域の6億5000万人強の人口のうちおよそ半数が30歳以下となるとも述べている。

ラオス、ビルマ同様、カンボジアは「安く、若い労働力」をタイやベトナムの製造業集積地域での新たな生産拠点に投入することとなると報告書は述べる。その一方で、マレーシア、シンガポールが地域の金融、技術の中心地となる。

加えて、同報告書は2020年までにアセアンは世界で5番目の規模をもつ経済となるであろうと予測している。今年末に控えるアセアン経済共同体(AEC)での地域経済統合が大きな役割を果たすと見られている。

真の「国境なき経済共同体は少なくともあと15年は実現しないであろう」と認めつつも、報告書ではアセアン加盟国の大きな経済的成長を可能にするための方策はすでに取られつつあるとしている。

「貿易統合や関税削減等、いくつかの分野においてはすでにかなりの進捗が見られ、最終的にはアセアン経済共同体は地域内での相乗効果を創出し、さらなる経済成長の時代の先駆けとなるであろう」

カンボジア縫製業協会のKen Loo書記長は、この報告書は東南アジア地域で急増する人口を反映したものだと話す。

「単に人口のみを考えても、東南アジアが製造業の中心地となるという予測は驚くべきことではありません。」とLoo書記長は話す。また、カンボジア人労働者の他国への移動は必ずしも国内における製造業の発展を阻害するものではないとも付け加えた。

「カンボジア人は今までと変わらず、タイ、ベトナムやマレーシアでも働くことになるでしょう。しかし、人の流れは双方向のものになります」とLoo書記長は言う。

「カンボジアは国内人口が非常に若く、また、毎年20万人から30万人規模の人口が新規に労働市場に参入するわけですから、国内製造業も成長できます」

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最終更新:2015年05月11日14:01

カンボジア:労働省が縫製労働者美人コンテストを開催

縫製工場で働くSo Sreyleakは、自分が美人コンテストに出られるなんて考えたこともなかった、と彼女の同僚で労働組合代表のPoy Sithは言う。しかししばらくの説得ののち、靴工場で働くこの女性は、カンボジア労働省が主催する第1回縫製労働者美人コンテストの舞台に立つこととなった。

カンダル州にあるYing Dong Shoes Co.のカンボジア労働組合連合の代表であるSithは、5月1日の国際労働者の日に開催されたコンテストの舞台上でも、Sreyleakは落ち着いていたと話す。

「彼女は緊張しているようでした。でも審査員が彼女に質問した時は、ほとんど知識はなかったのに、労務関連の質問についてもよく答えていました」

Sreyleakはおよそ60人の参加者のうち第3位となり、100ドルの賞金を獲得した。

カンボジア縫製業協会(GMAC)が賞金を提供し、優勝者には300ドル、第2位には200ドル、第3位には100ドル、そしてそれ以外の参加者すべてに20ドルが贈られたと縫製業協会のKen Loo書記長は話した。

しかし、コミュニティ法教育センターのMoeun Tolaセンター長は5月5日、このコンテストは労働者らの気をそらすためのプロパガンダに過ぎないと話した。ステージ上で女性らを気取って歩かせ、縫製労働者は一般的に幸せで健康であるという誤った考えを広めているとTolaは話す。

労働省職員らにも取材を試みたものの、コメントを得ることはできなかった。

 

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最終更新:2015年05月08日14:00

カンボジア:マークス&スペンサー、縫製工場で発生する貧血問題に取り組む

カンボジアで大勢の労働者が相次いで失神したことにより、労働者の栄養問題や生産面での影響などの問題が注目を浴びるようになった。

1年半にわたって実施された調査およびヘルスケア・プログラムによって、カンボジアの工場で働く何千人もの女性労働者たちの健康状態は改善した。同調査の実施は、大勢の労働者が次々と失神したできごとを受けたもの。これらの失神は一部、貧血によるものだった。同調査は、縫製工場としては初めてかつ最大の、貧血がもたらす影響についての研究となった。またこれにより、工場の労働環境については、縫製産業におけるグローバルな課題となる可能性があることが分かった。

マークス&スペンサー社が提携企業とともに開始したこのプログラムは大きな成功を収めた。そのため同プログラムはカンボジアの多くの工場に導入されているほか、バングラデシュやインドでも今後、採用される可能性がある。

この取り組みは、2011年にカンボジアの縫製工場で発生した集団での失神事件に端を発している。この失神については、誰一人として十分に説明できる者はいなかった。貧血が原因だろうと考えられたが、栄養面や、温度コントロールといった工場の労働環境など、別の問題にも焦点が当てられた。

マークス&スペンサー社は、カンボジアを生産拠点とする小売事業者である。同社が関心を示したのは、失神の原因を探ること、そしていかにしてそれを防ぐことができるのかということだった。同社は、国際保健医療支援団体であるProject Hope、およびカンボジア家族計画協会(RHAC)と協力して、7社の工場を対象に「健康への取組」プログラムを展開した。

開始時、工場経営者らは、既存の医療サービスを拡張してこれを支援することに同意し、また新たな取組の実施についても賛成した。これに伴い、医療委員会が設立され、メンバーにはマネジャーや労働者代表も含まれた。さらに同プログラムでは、指導を目的としたセミナーや集会を開催し、健康や栄養の基本的なことに対する関心を高めようとした。ほかにも、工場の医務室にスタッフを配置し、簡易的な薬の管理について指導した。これらの医務室は、情報を提供する場所として設置された。

プログラムの対象となった工場へのアンケートでは、5人に1人の女性が貧血だということが分かった。だが投薬や栄養面でのアドバイスなどによって、6割減にまで改善した。

1年半にわたって改善されたのは、これだけではない。この期間、アドバイスや基本的な治療を受けた労働者の割合は4割増となり、一方で外部の医療機関への紹介は15%増となった。RHACはまた、7工場すべてにおいて、施設内の診療所の1部として家族計画サービスを立ち上げた。

プロジェクトの実施以来、対象となったいずれの工場でも失神の事例は報告されていない。全体で約1万4000人の労働者が、同プログラムを通じて、改善した医療サービスや教育を受けることができた。労働者の大半は女性だった。

マークス&スペンサー社はまた、労働者の健康を改善するビジネスの立ち上げを希望しており、3S Groupと称するカンボジアの団体にレポートの作成を依頼した。

このレポートによって、常習欠勤の欠勤率や、労働者の離職率、生産性などを評価することができ、同プログラムの効果について確認することができた。最終レポートでは、常習欠勤の欠勤率は平均で5%減、生産性については7%増となったことが分かった。

 

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最終更新:2015年05月06日06:02

ミャンマー&カンボジア:メーデーを機にデモで賃上げを要求(後)

カンボジアの賃金

この日メーデーを機に、カンボジアでも数千人の労働者が首都プノンペンで抗議活動を行い、労働省に対して、最低賃金の引き上げや労働条件の改善などを要求した。同時に、非政府組織や労働組合の活動を制限する法案を撤回するよう求めた。

労働者らは同省の前に集まり、1カ月の最低賃金を現行の128ドルから177ドルまで引き上げるよう要求し、自分たちには生活水準を上げる権利があると訴えた。

農業従事者らも抗議に参加し、農務省に対して、職業訓練の機会を提供するよう求めた。

Independent Democracy of Informal Economy Association(IDEA)のVorn Pao会長は、フン・セン首相および最大野党であるカンボジア救国党のサム・レンシー党首に対して協力を求め、労働者のために共に解決策を探りたいと伝えた。また要求に応じなかった場合には、大規模なデモを実行する可能性があると警告した。これについて同会長は「われわれは、これらの問題について労働省と話し合いを行ってきました。今後3カ月以内に回答がなかった場合には大規模なデモを行い、嘆願書を提出すると伝えています」と説明した。

労働者の1人であるSok Ninさんは、要求が聞き入れられるかどうかは分からないという。そして賃金が低過ぎるせいで家賃や光熱費を支払うのもやっとだと付け加え、「生計を立てて毎日の生活費を賄うためには、妥当な給与が必要です」と話した。

労働省のある職員は、要求が記載されたリストを抗議参加者から受け取った。だがインタビューには応じなかった。

同日、プノンペンでは、カンボジア・アパレル労働者民主組合連盟のAth Thon代表率いる、別の抗議活動も実施されていた。同抗議には約200人の労働者が参加し、国民議会あるいは国会に対して、労働組合権および最低賃金の引き上げについて申し立てを行った。

さらに別の抗議活動では同様の訴えを起こす約1000人の労働者が参加し、Collective Union of Movement of WorkersのPao Sina代表の先導の下、プノンペンの民主広場から国民議会を経て、米国大使館まで行進した。

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最終更新:2015年05月05日14:01

カンボジア:縫製労働者の権利保護に新たな糸口を(後)

(前編より)

 

透明化を図ることが、労働環境を改善し、労働上の違反行為をなくすカギとなる。昨年、労働省の担当職員に会ったとき、「常に劣悪な労働条件下で、工場はなぜ操業できているのか。またなぜそれが発覚しないのか」と尋ねた。職員らは困惑の表情を浮かべ、最終的には、縫製工場のリストには国内のすべての工場が記載されているわけではない可能性があることを認めた。

労働省の話では、約1087件の縫製工場が登録されているという。だが昨年、工業・手工業省に登録されていた縫製企業は約1200社だった。つまり、少なくとも100件の工場が、政府による労働法の監査から逃れているということである。カンボジアの権利擁護団体および労働組合は、未登録の工場や監査を受けていない工場の件数は相当な数に上るとみている。

カンボジアの労働監査は拡大されるべきだが、改善すべき点もある。同監査制度は長年、放置されており、また不正行為疑惑にも悩まされてきた。担当職員らは監査に充てる資金がないと話す。つまり監査を行うには、旅費や食費などの資金を自己負担でまかなわなければならないということだ。

実際のところ、監査員の費用は、工場からの賄賂によってまかなわれていることが多いようだ。2人の元監査員の話によると、工場経営者らは封筒に入れた金を監査員に手渡してくるのだという。またある複数の工場の労働者たちは、別の汚職についても話してくれた。彼らは、経営者らがいかにして地元警察とのつながりを利用し、問題を提起する労働者たちを黙らせているかについて説明した。中には工場にやって来た警官が、賄賂を受け取っているところを目撃した者もいた。

しかし悪いことばかりではない。労働省は現在、改善すべき多くの課題があることに気付いており、改革に着手し始めている。だが政府が、工場やその下請け工場の過酷な労働条件を本気で改善しようとしているのであれば、まずは透明性を高めることの必要性について検討すべきである。商工省、労働省および工業・手工業省は、現在手元にあるすべての縫製工場とその所在地、各認可の内容が記載されたリストを公開し、適宜更新する必要がある。

フン・セン首相は、労働省に対して監査の拡大を指示するとともに、監査制度を整備して工場による登録を促すべきである。また省庁間の調整を改善する取り組みについても管理すべきだ。さらに労働監査の改革も必要である。担当職員らはロードマップを作成し、同制度の透明性を高め、かつ説明責任を果たせるものにしなければならない。

重要なのは、信頼のある政府であること、縫製産業の評判を保つこと、そして何よりも労働条件を改善することである。透明化を図り説明責任を果たすことによって、縫製産業は今後も、カンボジアの多くの女性にとって重要な雇用の創出源であり続けるとともに、公正で安全な産業として生き残ることができるだろう。

 

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最終更新:2015年05月04日14:02

カンボジア:縫製労働者の権利保護に新たな糸口を(前)

メーデーの1日は、カンボジア政府が、縫製産業の労働権について新たな「章」を開始する最高のタイミングといえるだろう。政府は、透明化を図り説明責任を果たすという公約に偽りはなく、今後も実行に向けて取り組んでいくということを世界に向けて具体的に示すことができるはずだ。

透明化を高めようとする動きはすでに始まっている。今年3月、労働・職業訓練省はここ数年間で初めて、年次報告書を公表した。そこには昨年、同省が監査を行った工場の件数、および同省が科した罰金の件数などが書かれている。情報公開そのものは完璧とはいえないが、滑り出しとしては好調だ。さらに労働権の侵害が見受けられたことや、罰金が実際に徴収されたのかどうかなどについての記載もあり、これによって国民は今後も同省の活動を知ることができるだろう。

カンボジアの縫製労働者は、世界のトップブランドの衣料品を生産している。だがそのほとんどが、過酷な労働条件や差別的な労働慣行に耐えている。1枚の衣料品において、生産から販売までのルートをたどるのは難しい。例えば、カンボジアの小さな下請け工場から大きな輸出向け工場に引き渡され、その後世界の各店で販売されるといった具合だ。こうしたサプライチェーンには闇の部分があり、透明性もほとんどない。

2013年末、カンダル州や首都プノンペン周辺を車で走っているときのことだ。労働運動家たちは私に、何件もの小さな縫製工場を指さした。それらの工場はまるで、巨大な駐車場かあるいは粗末な家屋のように見えた。実際、これらの建物には何一つ表示がなかった。縫製工場と確認できたのは、従業員向けのビラがドアに貼られていたプノンペンの工場1件だけだった。

労働者たちの中には、自分たちが作っている衣料品について、多くのことを知っている者もいればそうでない者もいる。カンダル州の奥深くに隠された、道路沿いの小さな掘っ立て小屋に腰かけて、私は、ある小さな縫製工場で働く数人の女性たちに取材を行った。彼女たちには社員証のようなものはなかった。代わりに、各自に割り当てられた番号を走り書きした紙切れを受け取るのだという。彼女たちは、自分たちの働いている工場の名前を知らない。だが中国系の名前だと思うと話した。われわれが車で通り過ぎたとき、その工場には何の表示も見当たらなかった。

小さな下請け工場で働くある労働者たちによると、完成した製品は大きな工場へ送られるのだという。またどのブランドの製品を生産しているのかについても教えてくれた。さらに別の話では、労働者たちは、働いている場所の名前さえ口にしてはいけないのだという。これには答えに窮した。工場について話すときには、別の名前を使って呼ぶのだ。

カンボジアの縫製産業には数多くの問題があり、そのため労働権が順守されているのかどうかについて監督するのが難しくなっている。こうした問題には例えば、工場の件数や各工場の名称が不明であることなどが挙げられる。工場の名称が分からなければ、その工場が登録されているのかどうかを確認することはほぼできず、政府の担当職員が監査を実施する可能性もほとんどない。

ほとんどの工場の女性労働者たちが、強制的な時間外労働があり、また妊娠していることが目視で判明したときには解雇されると打ち明けた。例えばある下請け工場では、大量注文を受けると日曜出勤を余儀なくされるほか、平日は夜9時まで働き、時には徹夜のうえ朝6時まで働かなければならないこともあると話した。だがこうした時間外労働に残業手当は支給されず、従わなければ解雇の恐れもあるという。

 

(後編につづく)

 

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最終更新:2015年05月04日06:01

カンボジア:縫製業協会会長が再選、多選制限の導入も決定

カンボジア縫製業協会(GMAC)は4月25日の年次総会でVan Sou Ieng氏を会長に再選した。Ieng氏はすでに20年以上会長を務めている。総会では同時に、任期2年間の会長職の再選は2度までに限るという新しいルールも承認した。

縫製業協会のKen Loo書記長によると、年次総会では定員25名の評議会も選出され、協会会員であるヨーロッパ諸国の企業も代表されるよう考慮した結果、新たな評議会メンバーも選出されたという。6 人が新規に選出され、残る19人はすでに評議会のメンバーであった。

「評議会は企業における取締役会のようなものです。縫製業協会の運営事項について決定するすべての権限を持っています」とKen Loo書記長は話した。

カンボジアの縫製製品輸出額は60億米ドルにも達し、同国の国内総生産(GDP)のおよそ3分の1を占めているが、このところカンボジアの縫製産業にとっては波乱の2年間であった。

特に2013年末には、賃金の引き上げを求める縫製労働者らのストライキと抗議活動が拡大し、暴力的なものとなったため、数日にわたって産業全体が事実上の麻痺状態に陥った。2014年1月3日に軍警察が介入し、抗議者らに発砲したことで事態は沈静化したが、結果、少なくとも5人の犠牲者を出した。

暴力と操業停止の結果、外国ブランドの中には他国により多く発注することを決定した企業も出た。2014年には、カンボジアの縫製製品輸出の成長率は前年のおよそ2分の1となった。しかし世界銀行は、これは他国の台頭による競争環境の激化と、政府が通貨リエルを固定している米ドルの高騰も要因であるとしている。

2015年1月に縫製労働者の最低賃金が28%上昇したことも縫製業界への負担を重くしている。また、政府が2015年中の成立を望んでいる労働組合法を巡って、縫製産業といくつかの労働組合との関係が悪化している。

労働組合法、そして現在法案作成中のNGOや各種協会を規制する法律の双方に、指導者の多選制限の条項が含まれると予想されることも、縫製業協会が今回会長の多選制限を決定した理由の一つであるとLoo書記長は話す。

「縫製業協会がどちらの法律に当てはまるにせよ、今後成立するだろう2件の法案を意識した決定です」とLoo書記長は言う。

任期を2期までに制限することで縫製業協会に国際的な慣行を取り入れることともなるとLoo会長は付け加えた。

しかし、2期の任期満了後に別の立候補者がいない場合は、この多選制限の原則は適用されないという。

 

 

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最終更新:2015年05月02日06:01

ファスト・ファッション産業はだれの犠牲で成り立っているのか(後)

(前編より)

 

2013年、H&Mは85万人の縫製労働者に対して、18年までに「公正な生活賃金」を支払うことを約束した。レポートでは、H&Mの業務のみを請け負っているバングラデシュの工場2件とカンボジアの工場1件を対象に、「給与体系改善方式」を試験的に実施していると伝えられている。またそこには、第1回目の評価がカンボジアの工場で実施され、「時間外労働の減少、賃金の引き上げ、生産性の向上、労使間の対話の改善」などがみられたと記載されている。

だがクリーン・クローズ・キャンペーン(縫製産業の労働組合とNGO団体の同盟)は、公正な生活賃金の支払いに関して「達成までの進捗を表す具体的な数字」が示されていないとして、同レポートを批判した。

カンボジア縫製労働者組合(C.CAWDU)のAthit Kong副代表は「同レポートには、カンボジアやバングラデシュの現地の実態は正確に反映されていません。H&MによるPR活動は、毎日必死に家族を養おうとしている労働者にとっては『嘘くさく』聞こえます」と述べた。H&Mが実施し全面的に管理している『サステナビリティ(持続可能性)』のためのビジネスモデルは、現地の労働者団体や労働組合のことを心から考えて構築されてはいません。これではH&Mの下で働く工場労働者にとっては全く代わり映えのない結果にしか終わらないでしょうし、制度面での虐待を取り繕うPR上の見せかけにしかすぎません」と続けた。

さらに H&Mが定義する「公正な生活賃金」とは、正確には何を指しているのだろうか。バングラデシュの賃金は世界で最も低く1カ月38ドルである。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、カンボジアでは昨年11月、縫製労働者の1カ月の最低賃金が28%増の128ドルまで引き上げられたが、この金額が労組の要求を下回るものであったことから、ストライキの増加につながるのではないかと伝えていた。

クリーン・クローズ・キャンペーンのCarin Leffler氏は、「信頼性の高い、どのような類の賃金パイロット・プロジェクトでも、あらかじめベンチマークを定めておく必要がありますし、一部の工場だけでなくすべての工場で進展のみられる、期限付きの明確な計画を盛り込んでおく必要があります」と述べた。

世界第2位のアパレル小売業者で、バングラデシュでの衣料品生産量が最も多いH&Mは、

腐敗した繊維産業を改善する立役者になれるかもしれない。H&Mによると、同社CEOのKarl-Johan Persson氏はこれまで、バングラデシュ政府と2度会談したことがあるほか、カンボジアを訪問し、同国の首相と最低賃金の引き上げや時間外労働の削減など労働問題について話し合いを行ったことがあるという。

今年、ノルウェーのオンライン・ドキュメンタリー番組「労働搾取工場:死ぬほど安いファッション」で、若い女性3人(ファッション・ブロガーのAnniken Jørgensenさん、ファスト・ファッションが大好きなFrida OttesenさんとLudvig Hambroさん)が突然カンボジアの縫製工場に連れて行かれ、そこで1カ月間働いて過ごした。3人は労働者らの貧困状態を知ってゾッとした。そこでは賃金が低すぎて生計を立てることができず、餓死した労働者や家族もいたのだ。

H&Mは、番組内で取り上げられた工場とは取引は行わないとしているが、Ottesenさんは第5話で、「H&Mのような大手ブランド企業が、なぜ何もしないのか理解できません。H&Mは大企業ですし、相当な権力も持っています。行動を起こすべきです」と話している。

つまり、安い衣料品にも本当の値段というものがあるのだ。Hambroさんは「脱水症状と空腹で倒れるまで、12時間も座って縫製作業を続けるなどというのは間違っています」と話す。「要するに、われわれは裕福でカンボジアの縫製労働者たちは貧しいということです。われわれはH&M のTシャツ1枚に10ユーロも払えるのですから。しかしそのTシャツ1枚を売るために、だれかが飢えに苦しまなければならないのです」と続けた。

 

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最終更新:2015年05月01日14:00

ファスト・ファッション産業はだれの犠牲で成り立っているのか(前)

ファスト・ファッション産業は本当に、いかなるときもサステナブル(持続可能)なのだろうか。

今月初め、H&Mは110ページにわたる「意識行動サステナビリティレポート(Conscious Action Sustainability Report)」を公表した。今回で13回目を迎える同年次報告書には、環境活動および同社工場で適正賃金を支払うための取り組みについて記載されている。レポートの各データや取り組みはその多くが称賛に価するものだが(例えば、全店で実施されている古着回収サービスでは約1万3000トンの衣料品が持ち込まれたことや、年末までに使用する電気の8割を再生可能電気にするよう取り組んでいることなど)、環境擁護団体および社会福祉団体は、レポートにあるいくつかの矛盾点を指摘した。

まず米ニュースサイトのQuartzが、H&Mの使用している綿花の現状について明らかにした。H&Mは、使用量は全体のわずか13.7%だが、世界で最もオーガニックコットンを使用している企業である。以前も伝えたが、綿花とは世界で最も毒性の高い作物の1つだ。有機消費者協会(OCA)の話では、世界の殺虫剤の約4分の1が綿花に使用されており、これは全農薬の12%に相当するという。綿花の栽培にはまた極めて大量の水が必要とされる。世界自然保護基金によると、綿花1 kg(Tシャツ1着分、あるいはジーンズ1本分に相当)の生産につき2万リットルの水が必要だという。

環境保護団体のグリーンピース東南アジアは、先月公表した「デトックス・キャットウォーク(大手衣料品ブランドによる有害化学物質全廃への取り組みを比較した世界ランキング)」のレポートで、H&Mを上位ランクに位置付けた。同ランキングが目指しているのは、製品におけるパーフルオロ化合物の撤廃と、内分泌かく乱作用のあるAps(アルキルフェノール)およびAPEOs(アルキルフェノールエトキシレート)の使用を、製造過程で禁止することだ。だが一方でファスト・ファッションの「使い捨て」という考え方そのものには、疑問が投げかけられている。

Quartzで指摘されたように、H&Mでは、3200件の店舗に対して、少なくとも年間6億点のアイテムを製造している。だが何千件にも及ぶ、例えばCOS(コス)(H&Mの高価格ブランド)のような同社傘下のブランド店舗は、この数に含まれていない。H&Mはまた、今年だけで、400件の実店舗および9件のオンラインストアを新規に立ち上げる計画としている。

ファスト・ファッションやEコマースによって、ショッピングの選択肢はかつてないほど広がった。だがますます多くの衣料品が今後、新しく購入したものと引き換えに捨てられることになり、結果として廃棄物の増加につながっていく。実際、米国では、国民1人当たり平均約70ポンド(約32 kg)の衣料品や繊維製品が廃棄されている。

天然資源保護協議会(NRDC)のシニア・サイエンティストで、Clean By Design(NRDCによる環境プログラム)のリーダーを務めるLinda Greer氏は、「根本的に、ファスト・ファッションの服を大量に売ろうとする考えと、サステナブル(持続可能)な企業を目指そうとする考えとでは、考え方に食い違いがあるのです」と話す。同氏はこれまで、大量の化学物質を必要とする繊維の染色・仕上げ工程で、H&Mが浄化処理を行う際の手助けを行ってきた。

天然資源保護協議会(NRDC)はこれまで、H&MのほかTargetやGap、リーバイスといった有名ブランド企業と提携し、Clean By Designプログラムを通じて、中国の繊維工場で各社の環境活動を改善してきた。NRDCは先週、新たなレポートを作成し、そこで、これらのサステナブルな大手ブランド企業らが、水やエネルギー、化学物資などの使用量を大幅に削減することで、年間1470万ドルのコストを削減していると述べた。

Greer氏は、「優れたファッションとはまた、環境に優しいファッションでもあります。アパレル製造業とは世界で最も環境を汚染する産業の1つですが、改善できないわけではありません」とし、「ファッション産業が、コストを削減して環境汚染の問題も改善できるチャンスはたくさんあります。Clean By Designプログラムでは、低コストで効果の高い解決方法を提案しています」と述べた。

ファスト・ファッション産業による環境問題への取り組みだけでなく、縫製労働者の劣悪な労働環境もまた重大な懸念事項である。これは特に2013年にバングラデシュのラナ・プラザ縫製工場で起きた崩落事故を踏まえており、この事故では1100人もの犠牲者が出た(H&Mと当該工場との契約関係はなかった)。

 

(後編へ続く)

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最終更新:2015年05月01日06:01

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