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ベトナム:米中貿易戦争におけるファッション製造の勝者

Fitch Groupの調査機関は、ベトナムのアパレル業界が現在進行中の米中貿易戦争と、それに続く米国小売業者の多角化戦略から、大きな恩恵を受けると予測している。

 

中国への発注は減少傾向

マクロ調査会社Fitch Solutionsによると、昨年米国に輸入されたアパレル製品・履物製品全体の38%を中国が占め、中国は米国のアパレル製品輸入の主要な供給国となっている。しかし、米国の繊維サプライチェーンにおける中国の市場シェアは、2010年に米国のアパレル製品・履物の輸入のほぼ半分(48%)を占めて以来、着実に減少している。中国の賃金上昇は、他の主要繊維生産国で見られる労働コストの低下とともに、この減少傾向の主な要因となっている。

2019年第1四半期の中国のアパレルや履物の対米輸入は、前年同期比1%減少し全体の34.5%となっており、米中貿易戦争がこの傾向を加速させている。

2018年半ば以降、中国から米国へのアパレル輸入に関税がかかるリスクは存在していたが、2019年6月に日本で開催されたG20サミットにおいて、ドナルド・トランプ大統領が、アパレル・履物を含む中国からの輸入品3000億米ドルに関税を課す動きは保留されていると発言したことにより、その脅威は減少したように見えた。しかし8月2日、トランプ大統領は、中国からの3000億米ドル相当の輸入品について、9月1日から10%の課税を実施すると発表した。10%の関税率は当初予定の25%よりも低いが、関税自体は撤廃されない。また、トランプ大統領は関税率を25%以上に引き上げる可能性があると警告した。

 

米国小売業者の継続的な多角化戦略

Fitch SolutionsのアナリストらはVOV Onlineに対し、米国の大手ファッション小売業者はここ数年で中国へのサプライチェーン関与を着実に減らしてきているが、貿易戦争のリスクが顕著になってきていることから、こうした関係性の削減が緊急性を増していると語った。

アナリストらは、予定されている10%の関税引き上げとさらなる関税引き上げの脅威を考慮すると、米国のファッション小売業者が調達先を見直し、中国との接触機会をさらに減らし、既存の多角化スケジュールを加速させる可能性を見越している。

例えば、Under Armourは中国から調達する製品割合を、2018年の18%から2023年までに7%に削減する計画だと述べている。米国のもう一つの大手ファッション小売業者GAPは、サプライチェーンの多様化を進めている。2016年には、同社製品の25%が中国で製造されていたが、2019年には21%にまで縮小した。

「私たちはここ数年中国からの調達を減らしてきており、今後も責任を持ってこれを続けていきます。」と、2019年6月に同社の社長兼CEOであるArt Peck氏は述べている。

米国小売業者の調達多角化戦略は、既に構築を進めている製造ハブからの生産を強化することに焦点を当てる。そうすれば、小売業者は現在のネットワークを活用し、製造規制、労働コスト、物流に関する既存のノウハウから利益を得ることができる。

Fitch Solutions は、Gapを例に挙げ、同社が中国への依存度を下げるための多角化オプションには、ベトナム、インド、インドネシアが含まれており、2019年4月時点で外注先としてそれぞれ20%、14%、9%を占めることを強調した。

 

ベトナムが最大の受益国に

ベトナムは、多角化プロセスの最大の受益者となると見られる。ベトナムが米国のアパレル・履物輸入全体に占める割合は、2001年の0.2%から2018年には16.5%へと急増し、第2位となった。

ベトナムが繊維製造大国に変わるにあたり、中国と比較した安価な労働力が助けになってきた(ベトナムの2017年の最低賃金水準は160.7米ドルで、中国の311.5米ドルを大きく下回っている)。ベトナムは米国小売業者にとって中国に次ぐ第2位の調達先であり、多くのファッション企業がすでに繊維工場を建築しているため、ベトナムは明らかな多角化の選択肢となっている。2019年の第1四半期のデータによれば、ベトナムからの米国の衣類・履物の輸入が前年比で13%増加し、米国のファッション輸入に占める割合が17.6%に上昇するなど、この見方が広がり始めていることを示している。

米国のファッション小売業者がすでに調達拠点を持っている他の国々でも、はるかに小規模ではあるが、米国からの注文が増加している。

Fitch Solutionsのアナリストは、米国の繊維製品の調達先上位20カ国について、2001-18年に米国のファッション輸入における役割が顕在化した国々、2019年の第1四半期には年間需要の増加が見られる国々を注意深く調査している。このデータに基づくと、中国の繊維工場から離れて米国小売業者が多様化し、ベトナムが他の国とともに最も恩恵を受けることになるとアナリストらは考えている。

 

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最終更新:2019年08月13日

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